■作物を納めないと市民は死刑「交響詩『魔女の竪琴』」
「交響詩『魔女の竪琴』」には、自分が食べるものほぼすべて女王に納めないと死刑になるという、理不尽極まりないルールが登場する。
海底が透けて見える美しい星に降りた鉄郎とメーテル。ボロボロのホテルで食べ物を頼むが、それは空気で膨らませた見せかけのもので満足できない。
しかも痩せこけた少女が食べ物を恵んでほしいとやってきたり、食堂で働く人々はもう3日も食べていないと明かすなど、誰もが飢えていた。
実はこの星には、200年も前から作物をすべて女王におさめないと死刑にされるというルールがあった。それを知った鉄郎たちは女王が住む島へと向かう。
しかしそこにいたのは200年ほど前に死んだ女王の亡骸だった。女王は自分が死んでも心だけはこの世に残し、機械によってこの星を支配し続けていたのである。女王に従い続けた機械装置は女王の死後も住民から食べ物を集め続け、食料は誰も食べることなく腐り果てていた。
まさに理不尽なルールによって、貧富の差が明確になったこのエピソード。私たちの社会でも食べ物が余っている場所がある一方、飢えている人がいることを忘れてはならない。このエピソードを見ると、不公平な制度や無関心が引き起こす悲劇について深く考えさせられてしまう。
今回紹介したエピソードは、いずれも『銀河鉄道999』に登場する空想の星での法律やルールだ。しかし今の地球でも似たような決まりがある国も多く、たくさんの人が苦しんでいる。それをすぐに解決することは難しいだろうが、残酷なルールをどう変えていくか、一人一人が考えていくことも大切だろう。