「キレイなだけじゃない…!」大河ドラマ抜擢「白石聖」がNHKドラマで魅せた“魂を揺さぶる名演技”  『大奥』に『しもべえ』、『カナカナ』も…の画像
『白石聖写真集 unveil』(宝島社)

 2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で、降板した永野芽郁さんに代わり、直(なお)役に抜擢された白石聖さん。高い演技力と透明感のあるルックスで知られ、近年注目の実力派若手女優だ。

 今回の『豊臣兄弟!』抜擢が大きな話題となった白石さんだが、過去にも数々のNHKドラマに出演している。今回は、彼女がNHKドラマで見せた印象的な名演技について振り返っていこう。

※本記事には各作品の内容を含みます

■細やかな演技に魅せられる『大奥』

 2023年に放送された『大奥』は、よしながふみさんの同名漫画を実写化した作品だ。本作は、男性の数が著しく減り、女性が権力を持った架空の世界を舞台とする異色の「SF時代劇」。「男女逆転大奥」で繰り広げられる人間ドラマが見どころである。

 白石さんは第1話に登場し、中島裕翔さん演じる貧乏旗本の息子・水野祐之進の幼なじみである信を演じている。どこか品のある、凛とした雰囲気を感じさせる娘だが、はきはきとしゃべり表情豊かなところが愛らしい。冒頭の祐之進との短い会話シーンだけでも、芯の強い人柄や祐之進との関係性がうかがい知れるのは、白石さんの細やかな目線や声色の表現があってこそだろう。

 祐之進と信は想いを寄せ合っていたが、やがて彼は実家の困窮を見かね、本当の気持ちを抑えて自ら大奥に上がることを決意。信はどうにか止めようとするが祐之進の決意は固く、2人は離れ離れになってしまう。

 別れの瞬間、祐之進に口付けられ、耐え切れず涙をはらはらこぼす信の表情は痛ましい。直後、「旦那がいなくなったってわたし、婿なんて取らないから」「(縁談を断り続けるのは)旦那にはこれっぽっちも関わりないことなんですからね!」と強がる白石さんの演技にも胸を締め付けられた。 

 さらに、祐之進は大奥で将軍の徳川吉宗に見初められるものの、“将軍の初夜の相手は打ち首になる”というしきたりのために処刑されることが決定してしまう。しかし、これを止めたのが吉宗だった。

 吉宗のはからいによって新たな身分となった祐之進は、大奥を出て信と再会を果たし、熱い抱擁を交わした。この場面で2人のセリフはないのだが、白石さん演じる信が感極まって祐之進に抱きつく姿を見るだけで、彼女の「生きていてくれて嬉しい」「ずっと会いたかった」といった想いが伝わってくるようだった。

■一生懸命で応援したくなる『しもべえ』

 2022年に放送された『しもべえ』では、白石さんのコミカルな演技が楽しめる。本作は村田ひろゆきさんの同名漫画の実写化作品で、謎のおじさん・しもべえと女子高生・鴨志田ユリナの交流を描くコメディドラマだ。

 白石さん演じるユリナは、勉強は苦手だが天真爛漫でまっすぐ生きている少女だ。そんな彼女がしもべえとともに、さまざまな困難を乗り越えていく姿が本作の見どころである。どこか不気味で得体の知れないおじさん・しもべえを演じた安田顕さんの怪演も素晴らしい。

 そんなしもべえの存在感にも負けないのが、ポンコツではあるが何事にも一生懸命なユリナの姿だ。しもべえが初めて現われた時、驚きで目をまん丸に見開いたり、留年の危機に「えー!?」と声を上げたりと、テンションが高めの白石さんの演技がかわいらしい。

 インタビューで「いろいろな種類の声を出すこと」を意識しながらユリナを演じていたと話している通り、本作で白石さんが発する声の中には、喜怒哀楽がたっぷり込められている。嬉しい時のはじけるような笑顔や落胆した時のしょんぼりとした表情など、ころころ表情が変わるのも見ていて飽きない。

 初めはしもべえに助けられてばかりのユリナだったが、次第に成長して強くなっていく。そんなユリナを白石さんはひたむきに演じており、観ている側も「がんばれ!」と心から応援したくなってしまう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3