■敵味方お構いなし!? 恐ろしく冷酷な攻撃を実行

 バスクは、虐殺としかいいようがない非人道的な攻撃をためらうことなく行っている。OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』で、バスクはデラーズ・フリートによるコロニー落としをソーラ・システムIIで阻止する任に就いていた。

 しかし、アナベル・ガトーが乗るMA「ノイエ・ジール」がソーラ・システムのコントロール艦を破壊したことで、バスクはコロニーの破壊に失敗する。

 するとバスクは、自分の作戦を邪魔されたことに激怒。残ったソーラ・システムを稼働させて第2射を放った。その発射地点には友軍も多数展開しており、味方の機体が巻き添えになることを承知でソーラ・システムで焼き払ったのである。

 さらに宇宙世紀0085年には、サイド1の30バンチコロニーで発生した反連邦デモを鎮圧する目的で、コロニー内にG3ガスを注入。1500万人にも及ぶ住民を殺害している。

 エゥーゴに肩入れする月面都市グラナダに対して行ったコロニー落としは失敗に終わったが、バスクは中立だったサイド2に対してコロニーレーザーを発射。再び毒ガス攻撃なども行っている。

 バスクは敵に厳しいだけでなく、中立の相手や時には味方すら平気で巻き込む、恐ろしい策を実行してきた。感情的になり、腹いせのようなかたちで多数の人々を死に至らしめることも多々あり、まさに外道の中の外道といえよう。

■『ジークアクス』でのバスク・オム

 『ジークアクス』では、キシリア・ザビを暗殺するために動いたバスク。中立コロニーに巨大モビルアーマーを持ち込み、強化人間のドゥー・ムラサメを搭乗させる。

 そしてコロニー内部で「大量破壊兵器」ともいえるサイコ・ガンダムを起動させ、キシリアの命を狙うという容赦ない作戦が決行された。

 年端のいかないパイロット、ドゥー・ムラサメは、赤いガンダムが起こしたゼクノヴァの影響で暴走。案の定コロニー内部で無差別攻撃を繰り出してしまい、民間人にも相当な被害が出たはずである。

 バスクが計画した作戦に参加したドゥー・ムラサメ、ゲーツ・キャパの両名はおそらく戦死したが、正史に負けない倫理観のなさを見せつけたバスクは、おそらく生存していると思われる。今後の動向が気になるところだ。


 『機動戦士Zガンダム』第48話で、パプテマス・シロッコの配下となったレコアが乗るパラス・アテネの攻撃により、乗艦ドゴス・ギアごと散ったバスク。どんな悪役にも多少は視聴者の同情を誘う背景や、情状酌量の余地がありそうなものだが、ことバスク・オムにかぎってはそんなものは見当たらなかった。最期の瞬間まで外道であることを貫いた稀有な人物といえるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3