
今年、放送開始66年を迎える『NHK教育テレビ』こと『Eテレ』。これまで多くの教育番組を生み出してきた本番組には、人それぞれ思い出があるだろう。
その思い出の多くは、“あの番組は面白かった”、“あのアニメが可愛かった”といった好意的なものだろう。しかしなかには、視聴者から「怖い」という感想が寄せられた番組も存在する。
今回は過去に『Eテレ』で放送された、見た目や演出が怖かったキャラクターたちを紹介したい。子どもの頃に見ていた人にとっては、ちょっとしたトラウマになっているかもしれない。
※本記事には各作品の内容を含みます
■頭のマスクがなんだか怖い…『おかあさんといっしょ』とんちんこぼうず
『とんちんこぼうず』は、1969年10月より『おかあさんといっしょ』内の月曜コーナーで放送された人形劇だ。見習い小坊主のとんねんぼう、ちんねんぼう、かんねんぼうの3人が、和尚さんと繰り広げる「とんち合戦」がおもなストーリーである。
『一休さん』を彷彿とさせる本作。内容自体はとても面白いのだが、何しろビジュアルにインパクトがありすぎる。
『おかあさんといっしょ』の着ぐるみといえば動物キャラクターを想像する人が多いと思うが、本作に限っては人間をモチーフにしており、生身の人間がお坊さんの衣装を着てゴム製のマスクを被っている。
そのため体の半分下は普通の人間なのに、頭だけを見ると人工的なマスクでとても違和感がある。本作は能や狂言などの伝統芸能もモチーフにして制作されているというが、小坊主たちの顔はまるで『犬神家の一族』に登場するスケキヨを彷彿とさせるほど不気味だ。
過去に『おかあさんといっしょ』で放送された人形劇は概ね3年以上続いているが、この『とんちんこぼうず』は、放送開始からわずか1年半で終了している。その原因は子どもにはちょっと受け入れがたい怖いビジュアルもその一因だったかもしれない……。
■動く砂絵、意味不明なセリフもなんだが怖かった『アエイオウ』
1994年から2002年にかけて『プチプチ・アニメ』枠で放送されたのが、幼児向けの砂アニメーション『アエイオウ(原題:A.E.I.O.U.)』だ。
主要キャラクターは、丸顔の5人の子どもたち。毎回、5人のうち1人が冒険に出て、敵やトラブルに遭遇し、魔法のバイオリンを使って解決するというストーリーである。
全体的にほんわかした雰囲気で、砂絵が緻密に変化していく様子は楽しいのだが、なんだか不穏なのが、終始キャラクターが何を言っているのかが分かりづらい点だろう。セリフは決して少なくないものの、どこか空気を含んだような独特の喋り方は宇宙人か何かが喋っているようで気味が悪いのだ。
また、本作には冒険を邪魔する敵キャラクターが登場することも多いのだが、砂で描かれた敵キャラは予想以上に迫力があり、なかでも怒った顔が非常に怖い。乳幼児にとっては、なかなかのインパクトがあるだろう。
もともと『アエイオウ』はイタリアのL+Hフィルムズが制作したアニメで、日本で作られたものではない。そのため海外アニメ独特の雰囲気もあるが、子どもたちが可愛らしく歌うテーマソングや分かりやすい内容は、万国共通で受け入れられるだろう。
だが、ちょっとした「間」や、相手キャラが怒ったときの異様な迫力は、あまり日本のアニメでは見られない要素だ。そうした独特の雰囲気も怖さを増幅していたように思う。