■あまりにもあっけない最期?

 驚異の15機合体で語り継がれるロボットアニメ『機甲艦隊ダイラガーXV』。同作の黒幕は、実に意外なかたちで命を落とすことになる。

 地球の人類は宇宙に進出し、地球を含む三惑星は連合を組んで銀河警備軍を結成。宇宙空母「ラガーガード」率いる艦隊を送り出し、居住可能な惑星を探す旅に出る。しかし、その旅のなかで母星が滅亡寸前のガルベストン帝国と衝突し、銀河警備軍との戦争が勃発する。

 ガルベストン帝国にも平和に生存の道を探ろうとする穏健派もいたが、好戦派が主導権を握っていた。とくにガルベストン帝国の皇帝である「コルセール帝」は徹底抗戦を唱えた。

 ガルベストンの穏健派である基地司令官「ソクラット・テレス」は上層部に反発したことで解任されるが、戦争を終わらせるためにゲリラを組織。ダイラガーの助力を得て、皇帝のいる宮殿に突入して銃を向ける。

 ところがこのとき撃たれたガルベストンの幹部が、絶命間際に銃を乱射。その流れ弾がコルセール帝に当たってしまい絶命するという、なんともあっけない幕切れを迎えたのである。

 ちなみに革命を成し遂げたテレスも、最終回に帝国上層部に不満を持つ兵士たちにより刺殺された。最後まで主人公そっちのけで終わったのが印象的だ。

■弄んだ相手からの復讐の刃に……

 最後に紹介したいのは、アニメ放映とゆうきまさみ氏による漫画連載が行われたメディアミックス作品の『機動警察パトレイバー』だ。

 ロボットテクノロジーの発達により「レイバー」と呼ばれる作業ロボが誕生。だが、それを用いた「レイバー犯罪」が多発したことにより、警視庁のレイバー部隊が設立される。そこで活躍したのがパトロールレイバーこと「パトレイバー」である。

 そんな同作の黒幕と言えば、内海課長こと「リチャード・王(ウォン)」だ。巨大多国籍企業「シャフト・エンタープライズ」に所属し、日本支部の企画7課課長の肩書を持つ。

 内海は戦闘用レイバー「グリフォン」を開発。採算を度外視して最強を求め、自分たちの技術力をアピールするために犯罪行為まで行っている。

 軍用レイバーにまで圧勝したグリフォンは、警視庁が誇るパトレイバー「98式AV」、通称“イングラム”をライバルに定め、内海は決戦の時を心待ちにしていた。

 しかし内海は、グリフォンとイングラムの対決の邪魔をしたシャフト系の企業SSS(シャフトセキュリティシステム)を敵視。仕返しとばかりに関係者が乗った車両を爆破するなど、自分の思い通りにならないと感情を爆発させ、人殺しも平気で行う。

 そんな内海は国外逃亡を目論んでいたところ、仲間を殺された恨みを抱くSSSの一員によりナイフで刺殺された。さんざん他人の命をもてあそんだ内海が、その対象に討たれるという黒幕らしからぬ幕引きだったのが印象的だ。

 ちなみにゆうきまさみ氏のマンガで命を落とした内海だが、アニメでは部下の黒崎とともに無事国外逃亡を果たしている。


 主人公が黒幕を打ち倒すのは、物語の王道の流れだろう。だが、悪逆非道な存在が、想像もしなかった相手により「ぞんざいな最期」を迎えると、いろいろと考えさせられる。そういう意外な展開があったからこそ、いまだに忘れられないのかもしれない。

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