
壮大な物語の裏側で暗躍し、他者を操って自身の目的を遂行する「黒幕」という存在。多くの人々を苦しめ、諸悪の根源たる黒幕を主人公たちが討ち倒したとき、多くの視聴者や読者は溜飲を下げる。
アニメやマンガではそういった展開が王道ではあるが、ときには主人公以外のキャラクターが黒幕を倒してしまうことだってある。たとえば悪の勢力のなかで権力闘争に巻き込まれ、黒幕が勝手に失脚するケースも見受けられた。
そんなフィクション作品特有の予定調和からかけ離れた展開に、驚かされることもまれにある。そこで今回は、ロボット関連作品のラスボスや黒幕と目されていたキャラが、予想外の相手に討たれた例を振り返ってみたい。
※本記事は作品の核心部分の内容を含みます。
■残虐な女帝を討ち倒した「まさかの相手」
『超電磁ロボ コン・バトラーV』といえば、初の“五機合体”を果たしたロボットアニメだ。地底に潜んでいたキャンベル星人が侵略をはじめ、それに対抗するため巨大ロボ「コン・バトラーV」に5人の若者が搭乗して戦う物語である。
主人公たちの好敵手として地球侵攻軍の司令官「大将軍ガルーダ」が活躍するが、キャンベル陣営の黒幕的な立ち位置にいたのが、ガルーダが敬愛する母「女帝オレアナ」だ。
しかし物語の途中にガルーダはオレアナの子ではなく、キャンベルに作られたアンドロイドだと知ってしまう。オレアナの息子という記憶も、彼女がガルーダを利用するために植えつけた偽の記憶だった。この衝撃の事実とオレアナの本性を知ったガルーダは、怒りのままオレアナを討ち倒すのだ。
しかし、『コン・バトラーV』の次なる黒幕も、主人公以外に倒されることに。オレアナが倒された後、キャンベル星から派遣されたのが「女帝ジャネラ」である。
ジャネラは任務に失敗した部下をいたぶった挙げ句、見限った将軍ダンゲルの体内に仕掛けた爆弾を起爆し、コン・バトラーもろとも葬ろうとした非情な人物だ。
最終回でジャネラは核融合弾「アースボム」で地球を爆破し、自分だけ脱出を図ろうとする。しかし、ジャネラが頭脳だけを取り出し、サイボーグ化した部下の「総統ワルキメデス」が、ジャネラの脱出を妨害。結局、ジャネラは爆発に巻き込まれて命を落とす。
このように『コン・バトラーV』では、いわば2人の黒幕が主人公ではなく、自分の部下に殺されるという数奇な末路をたどったのである。
ちなみに『コン・バトラーV』は「長浜ロマンロボシリーズ」と呼ばれる作品のひとつで、続く『超電磁マシーン ボルテスV』でも黒幕のザンジバル皇帝をプリンス・ハイネルが倒し、『闘将ダイモス』ではオルデバン大元帥をリヒテル提督が倒した。黒幕が部下に引導を渡される流れは、長浜ロマンロボシリーズのお約束といえそうだ。