■見た目はかかし、でも実の正体は…『ハウルの動く城』カブ
2004年に公開された映画『ハウルの動く城』では、木村拓哉さんが声優を務めたことでも知られる魔法使い・ハウルがその美しいルックスからして人気のキャラだろう。しかし本作にはもう一人、隠れたイイ男がいる。それが、かかしのカブだ。
カブは主人公・ソフィーによって名付けられた不思議なかかしだ。物語の冒頭でソフィーに助けられたことをきっかけに、行動をともにするようになる。
木でできた長い軸足を中心に、カブの頭、紳士服をまとった姿で魔力によって自ら動く。言葉は話せないものの、作中ではソフィーの掃除を一生懸命手伝ったり、雨の中では傘を差し出したり、危機に瀕したハウル一家を献身的に守ったりと広く活躍するのだ。
カブは見た目は可愛らしいかかしだが、その正体は強力な魔法で姿を変えられていた隣国の美しい王子だった。最後にはソフィーがキスをしたことで呪いが解け、人間の姿に戻る。
ここまで献身的にソフィーを支えてきたことを考えれば彼女とくっついても良いのだが、カブはソフィーの心がハウルにあることを知り、“心変わりを待つ”と言い、自国へ帰る。
最後までソフィーの幸せを願って自ら身を引く姿勢は、まさに本物のイイ男といえるだろう。
■タヌキだけどカッコ良すぎる!?『平成狸合戦ぽんぽこ』玉三郎
1994年に公開された『平成狸合戦ぽんぽこ』は、失われていく自然のなかで自分たちの生きる場所を必死に模索するタヌキたちの物語だ。彼らは人間に化け、これ以上自然破壊をさせないよう人間社会に挑んでいく。
そんな本作でひと際目立つ存在だったのが、鬼が森に住むタヌキ・玉三郎だ。
タヌキたちは、開発をやめない人間たちに対し「妖怪大作戦」を決行する。その作戦のなかでタヌキが人に変身する“化け学”に優れていた玉三郎は、タヌキの3長老を四国から連れてくる大役を担うこととなった。
しかし玉三郎はその途中で病に倒れてしまい、長老の娘・小春が献身的に看病をしたことがきっかけで恋に落ち、結ばれる。人間に化けた玉三郎と小春はとても美しく、この2匹、いや、“2人”の恋愛模様には見入ってしまったものだ。
また人間に化けたタヌキの多くは腹が出て丸顔といったようにタヌキの雰囲気が残るが、この玉三郎だけは端正な顔立ちで、スーツやマフラーがとても似合う。賢くてイケメンな玉三郎は、人間でいうエリート男性といったところだろうか。物語を引き立てるイイ男・玉三郎の活躍は、本作に華を添えていた。
ジブリ作品には実に多くの素敵なキャラが登場するが、今回紹介したように隠れたイイ男も少なくない。彼らは縁の下で主人公たちを助けたりと、物語には欠かせない十分な役割を担っていた。
主役以外のキャラクターたちも魅力的で生き生きと描かれたジブリ作品。大人になったいま見返してみると、キャラクターたちの意外な一面を発見できるかもしれない。