
スタジオジブリ作品には、忘れられない素敵な男性キャラが多く登場する。代表的なキャラと言えば、ルックスもカッコ良く、性格も男前な『もののけ姫』のアシタカや『千と千尋の神隠し』のハクが挙げられるだろう。
しかしジブリ作品を見返してみると、プリンス的な立ち位置ではないが、実はしっかりとヒロインをサポートしている隠れたイイ男たちも登場している。
今回はジブリ作品において、脇役キャラだけど実際にいたらかなり頼りになる“イイ男”たちを紹介していきたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■シャイだがやるときはやる『となりのトトロ』カンタ
まずはイイ男というにはちょっと早いかもしれないが、好きな女の子のために奔走する純粋な少年を紹介したい。それが、1988年公開『となりのトトロ』に登場するカンタ(勘太)だ。
カンタは主人公・さつきやその妹・メイの隣に住む農家の子どもだ。サツキのことは、彼女が引っ越してきた時から気になっているが素直になれない。「やーい! お前んち、おっばけやーしきー!」と、サツキをからかうセリフは有名だろう。
しかしそんなカンタは、サツキのために何度も行動している。ある日、雨に降られて傘がなく雨宿りをするサツキとメイに遭遇したカンタ。自分のボロボロの傘を「んっ!」と言って無理やり差し出し、自分はずぶ濡れになって家に帰っている。
またメイが迷子になった際にも、心配で探し回るサツキをサポート。カンタは自分の身長ほどある大きな自転車に三角乗りし、サツキの代わりにメイを探しに遠く離れた七国山病院へと全力で向かうのだ。
このようにカンタは普段はシャイでツンデレなのだが、ピンチのときにはできる限り一生懸命サポートをしてくれる。まだ自分の気持ちを上手に伝えられるほど大人ではないが、将来はきっと立派なイイ男になるだろう。
■ナウシカが心を許した王子『風の谷のナウシカ』アスベル
1984年に公開された『風の谷のナウシカ』には、工房都市ペジテ市の王族である少年・アスベルが登場する。
登場当初のアスベルは敵対するトルメキア軍に憎悪を燃やし、一人戦闘機に乗り込んで攻撃をしていた。しかし相手に追撃され腐海に不時着し、蟲に襲われていたところをナウシカに救われる。その後、腐海の事実を知ったアスベルはナウシカの考えに共感し、彼女の行動を全力でサポートするのだ。
たとえば、風の谷にいるトルメキア兵を谷ごと蟲に襲わせようとするペジテの作戦を知り猛反発したナウシカが、それを谷に知らせるため脱出しようと試みるも取り押さえられてしまったシーンでのこと。
アスベルはとっさに父親から銃を奪って足元に射撃し、“その子を放してやれ!”と身を挺してナウシカを守るのだ。故郷を敵に回してまでナウシカを助けようとするこの行動は、なかなかできることではないだろう。
作品中、2人が一緒に行動した時間は比較的少ない。しかしナウシカはアスベルを救出後に腐海で一緒に過ごしたとき、腐海が人間にとって欠かせない存在であることを知り、涙を流す。
普段は冷静沈着なナウシカが自分の感情を素直に出せたのは、アスベルには大きな優しさや心を許せる雰囲気があったからだろう。