■いろんな人から意見を求めて「あるある」を追求
――公式サイトの販売終了品を含めた商品一覧を見ると、タイトルも含めておもしろいものばかりです。特に気になるのは『ぷちサンプルLight コンビニで晩酌』のキャッチです。カップ入りの氷とストロング系チューハイ&エナジードリンク風飲料のセット名が「今全部忘れたい気分」で、ユーモア溢れていますよね。
長尾:この商品の開発者はそんなにお酒を飲むタイプじゃないので、開発部のみんなやお酒が好きな人に意見をもらったのかなと思います。
営業本部・岡本真侑さん(以下、岡本):企画の立ち上げは1人ですが、開発部で回覧を回してみんながそれに対してコメントを書いていくんです。そうすると1人では思ってもみなかった意見が出てくるので、企画を俯瞰で見ることができるのではないでしょうか。

――みなさんで作り上げていくんですね。
長尾:あと難しいのが、商品の内容量のバランスですね。ピースによりボリュームがあったり寂しかったりしないようバランスを考えています。大人買いしたら世界観が出来上がるというのがうちの商品の魅力ではありますが、ピース販売しているので、1ピースを買うだけでも楽しんでもらえるように、ということを常に意識しています。


――たしかに『ぷちサンプル』シリーズは、狙っていないものが入っていたとしても「ああ、ハズレだ」とは思わないんですよね。それに、世界観がおもしろいので1ピースでも十分に楽しめます。たとえば『推しのいる生活』(2022年5月発売/販売終了)や『俺んち来る?』(2020年4月発売/販売終了)などは、人物設定がリアリティあふれています。
長尾:どちらもすごく反響をいただきました。『俺んち~』は自分の中にある「男性の部屋ってこうかな」を詰め込んだんですが、お客さまは“あるある”に反応してくれたように思います。「社会人の1人暮らし男性の部屋ってガラステーブルありがちだよね!」とか、そういったものを入れるのが楽しかったですね。
――プロティンと筋トレグッズのピースには「今年の夏こそ頑張るか…」とタイトルがついていたり、「押入れ整理したら色々出て来た…」にはサッカー部時代であろうユニフォームやトロフィー、元カノからもらったであろうぬいぐるみのセットが入っていたり、「こういう人なんだろうな」という人物像が浮かんでおもしろいです。あと電子タバコもありますが、かなり早い段階で取り入れていますよね。
長尾:まわりの男性が電子タバコを吸い始めていた時期だったので「あ、いまはこれなんだ」と観察して取り入れました。2018年4月発売の『ズボラちゃんのお部屋事情』(販売終了)も自分が担当しましたが、自分の実体験を反映しましたね。
――鍋で煮込んだラーメンを、雑誌を鍋敷きがわりにそのまま食べようとしているピースには「THE・ズボラ飯」とキャッチがついていますが、誰もがやったことがあると思います(笑)。
長尾:ですよね。キャラクターの人物像を自分の中で思い描き、「この人だったらどういう生活をしているかな」と考えています。
岡本:長尾の特徴はネタ要素を入れるところですね。「あるある!」と微笑みたくなる要素を入れるのがうまいんです。
――岡本さんは商品を見ただけで企画者がわかりますか?
岡本:だんだんと特徴をつかめるようになり、わかるようになりました。商品にみんなの個性が出ています!