干しっぱなしの服や将棋の駒、お惣菜も分解可能な細かさ…『ぷちサンプルシリーズ』“あるある”が伝わる企画の発想源の画像
『推しのいる生活』(C)2025 RE-MENT
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 食玩コーナーや玩具店、家電量販店でひときわ輝く、魅惑のミニチュアー――。その小さな世界に触れた瞬間、誰もが心躍るはず。精巧な再現性とニッチな企画で国内外に多くのファンを持つ『ぷちサンプルシリーズ』。再現されたミニチュアは、ちょっとズボラな女性が生活する部屋のインテリアや、猫を飼っている人の持ち物、コンビニで買う晩酌用の飲み物とおつまみなど、思わず「あるある!」と頷いてしまうものばかり。

 今回は、企画開発から製造販売までを手掛ける玩具メーカー株式会社リーメントの営業本部・岡本真侑さんと開発本部・長尾百恵さんに、『ぷちサンプルシリーズ』特有のユニークな企画がどう生まれているのか深堀りしました。

【第2回/全3回】

――『ぷちサンプル』シリーズは食品からお店、お部屋、雑貨などあらゆる商品が揃いますが、みなさんどうやって企画を考えているんでしょう。

開発本部・長尾百恵さん(以下、長尾):みんな本当にそれぞれですが、私自身は自分の好きなものや好きな世界観、実体験から着想を得ています。たとえば「おばあちゃんの家にこういう家具が置いてあったな」とか「これをミニチュア化したらおもしろいかも」とか。

 日常生活の中でふと「かわいい」と思ったものや、本屋さんに並ぶ雑誌を見て「このキャッチフレーズは商品名のヒントになりそうだ」と思ったものはすぐにメモをする習慣がついてしまいました。ほかには、過去の人気商品を現代版にアレンジしたり、「小さい袋をふんだんに使いたい」という発想からスタートしてお店の形態を考えたり、どんどん深く掘り下げていく方もいます。

――それぞれの趣味嗜好によるんですね。企画会議は部署全員でやっているんでしょうか。

長尾:はい、毎週1回会議があり、まずはテーマをざっくりとプレゼンして、みんなが意見を出し合います。「これはいいかも」「難しいのでは?」「こうすればいけそう」などブラッシュアップして形にしていきます。

――その過程でボツになる企画もありますか?

長尾:頻繁にあります。これまで売れた商品の傾向が出ていて、それが判断基準の一つになっています。

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