■『ジークアクス』世界でのギャンの開発経緯は?
『ジークアクス』の世界では、連邦のガンダムをジオン軍が奪取したことをきっかけに、MS開発の流れにも大きな変化が生じた。
たとえば鹵獲したガンダムをリバース・エンジニアリングして生み出された「ゲルググ」は、初代『ガンダム』における「ジム」に近い機体となった。
かつてギャンと主力MSの座を争った「MSー14・ゲルググ」は登場しないが、劇場先行版『ジークアクス』のパンフレットには、ガンダムの量産型との開発競争に敗れたと記されている。
つまり初代『ガンダム』でギャンとゲルググが争ったジオンの主力MSには「ガンダムの量産型(いわゆるジム)」が採用されたため、本来のゲルググだけでなく、おそらくギャンも量産化されなかったと思われる。
それなのに、明らかにギャンを発展させたと思われる「エグザべ専用ギャン」が存在するのはなぜだろうか。
第5話で、かつてジオン軍に所属していた黒い三連星の面々は、「マ・クベに軍を追い出された」と語っていた。戦勝国となり、一応の平和が訪れたジオンではマ・クベが中将にまで昇進しており、おそらく相当な権力を持っていると思われる。
つまり『ジークアクス』のマ・クベであれば、彼の権限によって愛機ギャンをベースに改良を続け、敬愛するキシリアを護衛する機体として運用することも可能だったのかもしれない。
ちなみにエグザべ専用ギャンが持つ「ハクジ」という武装名は、初代『ガンダム』の総監督である富野由悠季氏が当初のストーリー案として書いた「トミノメモ」に登場するギャンの別称でもある。
『機動戦士ガンダム』では出番が少なったギャンが、『ジークアクス』で再び脚光を浴びたことに歓喜したファンも多いのではないだろうか。今後エグザべ専用ギャンが、専用武装「ハクジ」を用いてどのような戦闘を繰り広げるのかにも注目したいところだ。