黒ひげは絶対許せない?スクアードに同情の余地は…?『ONE PIECE』読者すら困惑した「壮絶な裏切り」の画像
「ワンピース KING OF ARTIST THE MARSHALL.D.TEACH」(BANDAI SPIRITS) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 数え切れないほど多種多様なキャラクターが登場する、尾田栄一郎氏の人気マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』。敵対する相手もたくさん存在するが、とくに許せないのが卑劣な裏切り行為を働いた人物ではないだろうか。

 仲間だと思っていた人物が裏切る展開は、読者としても苦々しい気持ちにさせられる。まして、最初から裏切るために仲間になっていたというケースは、それが発覚したときの衝撃度はいっそう増す。

 そこで今回は『ワンピース』を代表する印象的な裏切りシーンをピックアップ。彼らが裏切った経緯や背景などをまとめて振り返ってみたい。

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。

■すべては計画通り? 鉄の掟を破った非情な男

 現四皇の一角である“黒ひげ”こと「マーシャル・D・ティーチ」は、孤児で行くあてもなかった少年時代に、白ひげに頼み込んで船に乗せてもらった。そんな大恩のある人物に対し、黒ひげはとんでもない暴挙に出る。

 黒ひげが白ひげ海賊団に加入して何十年も過ごしたのは、自らが追い求める最凶の悪魔の実「ヤミヤミの実」を手に入れられる確率が一番高いと思ったからだった。

 そのお目当ての悪魔の実を手にしたのは、白ひげ海賊団4番隊隊長のサッチ。黒ひげ自身が「友達」と語るほど仲が良かった人物だ。あろうことか黒ひげは友人のサッチを殺害し、「ヤミヤミの実」を奪って白ひげ海賊団を去るという、あまりにも非道な裏切り行為を働いた。

 白ひげ海賊団には「仲間殺しは禁じる」という鉄の掟があった。己の野心のためにそれをあっさりと破り、恩義ある白ひげを裏切ったのは許されざる行為である。

 その後も黒ひげの裏切りは続く。かつての仲間であり自身の隊長だったポートガス・D・エースを倒すと、その身柄を海軍に引き渡す。そして「王下七武海」という世界政府側の立場を得ながら、大監獄インペルダウンを襲撃し、脱獄させた囚人を引き連れて頂上戦争に乱入した。

 そこで大きな恩があるはずの白ひげに致命的な攻撃を見舞っただけでなく、彼が持っていた「グラグラの実」の能力まで奪ってみせた。

 数々の裏切りを行った無法者ではあるが、そこには並々ならぬ覚悟と計画通りに事を進める狡猾さが見え隠れする。その不気味な行動から、ラスボス候補に名前が挙がるのもうなずける存在だ。

■狡猾な口車に乗って痛恨の裏切り!?

 エドワード・ニューゲート率いる白ひげ海賊団の傘下である、大渦蜘蛛海賊団船長の「スクアード」。彼は面倒見の良い白ひげを尊敬し、慕っていた人物である。

 そして白ひげ海賊団と海軍本部、及び七武海らが激突したマリンフォード頂上戦争が勃発。その混乱のなかで、突如スクアードは持っていた大剣で白ひげの腹部を貫いた。

 白ひげからの信頼も厚かったスクアードが行ったまさかの裏切り行為は、戦場を凍りつかせた。

 彼が凶行に及んだ背景には、海軍の赤犬とセンゴクによる策略が裏にあった。もともとロジャーに対して深い恨みを抱いていたスクアード。その彼にエースがロジャーの息子だという真実を告げたうえで、白ひげがエースの命を助けるために傘下の海賊団の船長の首を売ったという「真っ赤なウソ」を吹き込んだのである。

 海軍のウソを信じ込み、白ひげの腹に刃を突き立てたスクアード。だが、白ひげは彼の体を力強く抱きしめると「バカな息子を――それでも愛そう…」と告げる。そしてロジャーへの恨みを息子のエースにぶつけることの理不尽さを説き、「エースだけが特別じゃねェ…みんなおれの家族だぜ…」と言い放った。

 信頼する部下の裏切りで刺されながら、愛情をもって優しく諭した白ひげ。彼の怒りの矛先はスクアードではなく、彼をたぶらかした海軍に対して向けられる。何より白ひげの器の大きさが感じられたシーンだった。

 そんな白ひげの反応を見て赤犬にだまされたことに気づいたスクアードは、自らの愚かさに後悔の涙を流す。その後、1番隊隊長マルコに諭されて戦線復帰したスクアードは、せめてもの贖罪とばかりに自身の海賊団を犠牲にしてでも、白ひげ海賊団の活路を見出そうとした。

  1. 1
  2. 2
  3. 3