■現代にも通じる昭和の迷惑メール「まる子 不幸の手紙をもらう」の巻
今ではSNSなどを中心に、不要なメッセージが届く機会も多くなった。その元祖ともいえるのが、昭和の時代に流行った「不幸の手紙」ではないだろうか。これは、“この手紙をあと何人かに送らないとあなたは不幸になる”という、脅しの手紙だ。おそらく昭和世代ならもらった経験のある人もいるだろう。そしてそれは、まる子も例外ではなかった。
コミックス8巻に掲載されている「まる子 不幸の手紙をもらう」の巻で、クラスメイトの藤木君から不幸の手紙を受け取ってしまったまる子。不幸になりたくないため同じ手紙を4通書くものの、いざとなると相手のことを思って投函できない。
思い悩むまる子に対し、父のヒロシは手紙をやぶって「こんなもん出すヤツも気にするヤツも大バカだ」と、一刀両断するのであった。
今ならこのようなメッセージが送られて来ても“こんなものはウソだ”と、スルーできるだろう。しかし、当時はわざわざ送られてきた手紙を手に取ると、なんだか本当に不幸が起きてしまうようでモヤモヤしてしまうのだ。しかしそれをバッサリと切り捨てたヒロシは、親としてカッコいい教えを示している。
ちなみにこのエピソードは、不幸の手紙を送った藤木君がクラス中に責められ、結果、不幸な思いをしてしまい、さらに今度はまる子に文通相手から“送ると幸福になる”という「幸福の手紙」が送られてくるというオチがついている。
手紙文化が主流だった時代に人々を困惑させた嫌な習慣を思い出し、思わず苦笑いしてしまった次第だ。
このように『ちびまる子ちゃん』には、ちょっと後味の悪い終わり方をするエピソードも多い。しかしそのような話こそインパクトが残り、大人になった今でも思い返せるのだろう。
やはり『ちびまる子ちゃん』は単なるギャグ漫画ではない、奥深さのある唯一無二の作品なのだ。