
2026年の5月をもって活動終了を発表したアイドルグループ「嵐」。来年以降は5人そろった姿を見られなくなると思うと、今から残念でならない。
嵐はこれまで、メンバーそれぞれが俳優としてドラマの主役を務めてきた。特に漫画を実写化したドラマにおいては、嵐のメンバーだからこそ原作に命が吹き込まれ、素晴らしい実写化に成功した作品も少なくない。
今回は嵐のメンバーそれぞれが主役を務めた、印象深い漫画実写化作品を振り返りたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■自由奔放な怪物くんを熱演:大野智主演『怪物くん』
まずは、嵐のリーダー・大野智さん。大野さんは、2010年に放送された藤子不二雄Aさん原作のドラマ『怪物くん』で、主人公・怪物くんを演じた。
人間界にやってきたワガママな怪物くんが、ひょんなことから人間と友情を育むようになり、成長していく姿を描いた本作。
幼い頃にアニメで『怪物くん』を見ていた筆者は、当初、「実写化は無理があるのでは……」と思っていた。しかし大野さんは振り切った演技で見事「怪物くん」になりきっていた。
ムスッとした初期の印象から、次第に人助けに目覚めていく心の変化、そして手が巨大化する変身シーンに至るまで、不思議と違和感がなかった。それは、大野さんならではの独特の“間”とコミカルな表情によるものだろう。
原作者である藤子さんも、大野さんの演技を見て「想像以上に役がピッタリで感激した」と述べている。大野さんの演技はもちろん、CG演出や、嵐が歌うテーマ曲『Monster』も本作にぴったりで、作品の世界観をより際立たせていたように思う。
ちなみに大野さんは2014年、えんどコイチさん原作の『死神くん』でも死神役として出演している。ひょうひょうとした彼の雰囲気は、人間ではない役にマッチしているのかもしれない!?
■櫻井翔さん主演:美大を舞台に繊細な恋を演じた『ハチミツとクローバー』
在外公館の料理人を演じた『大使閣下の料理人』(原作:西村ミツルさん、作画:かわすみひろしさん)、二宮和也さんとのW主演でも話題になった『山田太郎ものがたり』(原作:森永あいさん)など、多数の実写化作品で主役を務めてきた櫻井翔さん。なかでも櫻井さんがインパクトを残したのが、2006年公開の映画『ハチミツとクローバー』(原作:羽海野チカさん)である。
本作は美大を舞台に、若者たちの恋と友情、将来への葛藤をリアルに描いた作品だ。櫻井さんは、主人公の建築学科3年生・竹本祐太を演じた。
原作漫画でも印象的な「人が恋におちる瞬間をはじめてみてしまった」というシーンで、櫻井さんは油絵科の花本はぐみ(蒼井優さん)に恋する瞬間を、息を止めて見つめる繊細な演技で見事に表現している。
普段の櫻井さんはエリートキャラのイメージがあるが、『ハチクロ』では竹本の純朴さ、一生懸命さ、ちょっと不器用なドンくさい面までを巧みに演じていた。
はぐみへの秘めた想いを抱えながらも彼女を見守る切ない表情は、多くの観客の心を打った。本作は、俳優・櫻井さんの新たな魅力を引き出した作品といえるだろう。
■冷酷な世界で人間らしさを模索した役どころ:二宮和也主演『GANTZ』
2015年に日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞するなど、卓越した演技力を誇る二宮和也さん。二宮さんもまた、上述した『山田太郎ものがたり』や、江戸時代劇『大奥』(原作:よしながふみさん)など、数々の実写化作品に登場している。
なかでも強烈な印象を残したのが、SFアクション映画『GANTZ』(原作:奥浩哉さん)だ。死んだはずの人々が謎の星人との戦いを強いられる独創的なストーリーが魅力の本作において、二宮さんは主人公の玄野計を演じている。
当時のインタビューで「CGとの戦いがすごく大変だった」と語っていた二宮さんだが、作中では抜群の運動神経を持つ玄野を見事に演じ、迫力のあるアクションで大きな話題を呼んだ。
玄野は登場当初冷めた性格であったが、過酷な戦いを経験する中で人間らしさを取り戻していく。そんな複雑なキャラクター・玄野を二宮さんは繊細な演技や表情で再現しており、本作のシリアスな世界観にも非常に調和していた。
8月に公開される大ヒットゲームの実写映画『8番出口』で主演を務め、先日おこなわれた第78回カンヌ国際映画祭でも高い評価を得た二宮さん。今後もさらなる活躍が楽しみである。