劇場版『無限城編』ではどうなる?『鬼滅の刃』最終回まで読んでもわからない「未回収の伏線」の画像
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 炎柱・煉獄杏寿郎の誕生日前日である5月9日から全国の映画館で5週間限定で『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のリバイバル上映が行われている。興行収入404.3億円を記録し、国内映画の歴代興行収入ナンバーワンとなった社会現象作を劇場でもう一度楽しみたいという人は多いだろう。

 『鬼滅の刃』は吾峠呼世晴氏の漫画を原作に、2019年よりアニメ化。そしてアニメが人気となったことで原作も再注目され、書店では売り切れが続出するほどの大ヒットに。度重なる重版でコミックス累計発行部数1億5000万部を突破した。

 7月18日からいよいよ公開となる三部作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』は、物語の最終章のはじまりだ。漫画を何度も読んだというファンも、アニメーションでどう表現されるか、細かい部分まで楽しみにしていることだろう。

 『鬼滅の刃』は、家族を鬼舞辻無惨に襲われた主人公・竈門炭治郎の冒険を描く物語。全23巻で構成されており、仲間との出会いや成長、そして鬼たちとの戦いが非常にスピーディな展開で描かれる。主人公サイドだけでなく、敵である鬼たちの背景が丁寧に語られ、いずれも涙なくして読めないものばかりではあるが、一方で最終回まで読んでも回収されなかった伏線や、「結局どうなったの?」という謎も残している。

 はたして今後の劇場版『無限城編』で補足があるのか、今回は『鬼滅』に残された伏線について改めて振り返ってみたい。

※本記事は作品の核心部分の内容を含みます

◼︎「痣」を持つ者は短命とされるのに継国縁壱が長生きだったのはなぜか?

 遊郭編での炭治郎を皮切りに、『鬼滅の刃』に登場する実力者である「柱」たちは、「刀鍛冶の里編」から次々と戦いの最中に体に痣が発現する痣者となっていく。痣が出ると身体能力が飛躍的に上がり、鬼からのダメージ回復力が格段に上昇する。その際「体温は39度以上」になり「心拍数は200を超える」ことが、「刀鍛冶の里編」後の柱合会議にて明かされる。

 パワーアップという意味では何とも少年漫画的でワクワクする設定だが、これはかなり体に負担をかける行為で、寿命の前借りでもある。痣者になったものは上弦の壱・黒死牟によると25歳まで生きられないとされている。

 しかしここで疑問に思う人もいるはずだ。黒死牟の弟であり、始まりの呼吸の剣士である継国縁壱は80年以上も生きている。これは当時の平均寿命の倍近くである。

 なぜ縁壱が例外だったのか。彼が特別な存在だったといってしまえばそれまでかもしれないが、考えられるのは、もともと縁壱が顔に痣がある状態で生まれていたということだ。いわゆる先天性の痣者だったので寿命が縮まらなかった、というわけだ。もしくは、逆に縁壱ほどの類稀なる実力者でなければ、「痣」という代償に身体が耐えられずに25歳までに死んでしまうと考えることもできるだろう。

 ちなみに炭治郎の痣は生まれつきのものではない。幼いときに弟を庇って火傷をしたと語っているシーンがあり、その後最終選別で今の形となった。そのため、炭治郎も25歳以内に死んでしまうのでは、とされている。しかしファンとしては、炭治郎も日の呼吸の使い手ということで、どうにか縁壱のような例外となってくれないかと願うばかりだ。

◼︎無惨を鬼にした「善良な医者」の正体は?

 鬼舞辻無惨はもともと人間だった。平安時代に生まれたが、母親の腹の中にいた頃から心臓は何回も止まり、生まれたときには脈も呼吸もなく、医者からは「20歳になるまでに死ぬ」と言われるほどの虚弱体質だった。

 そんな無惨を助けようと、試作の段階であった新薬を投与したのが「善良な医者」と語られている人物だ(アニメ「刀鍛冶の里編」最終話では無惨の視点で語られるため「やぶ医者」と呼ばれている)。彼は薬の投与後も一向に病状が良くならない無惨にすぐに殺されてしまうのだが、後にこの薬が鬼になる薬だったことが判明する。

 すぐに無惨に殺されてしまったため、最後まで何者だったのかはわからなかったが、物語の全ての元凶を作った人物といっても過言ではない、インパクトの大きい存在だ。

 結局彼は何者だったのか。無惨への薬の投与は本当に善意での行いだったのか、それとも鬼になることがわかった上で投与したのか。わざわざ名前に「善良な」とついているので善意だと信じたいが、その行動の真相は分からずじまい……。

 この薬は青い彼岸花から作られており、無惨が日光を克服するためにずっと青い彼岸花を探していたことにつながっていく。

 ちなみに産屋敷家が代々短命なのは、一族から無惨という怪物を生み出してしまったことによる呪いだとされている。人間だった頃の無惨の症状と産屋敷家の症状や短命という運命は酷似しているため、そのまま産屋敷家の面々に無惨の病気が降りかかっているのであろう。

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