■最高の操舵手が披露したバレルロール
ミライがホワイトベースで行った背面飛行、いわゆるバレルロールは、『機動戦士ガンダムSEED』の「アークエンジェル」の操舵手であるアーノルド・ノイマンも披露している。
アークエンジェルがインド洋にて、ザフト軍の水中用MS「グーン」により、死角である艦底から一方的な砲撃を受けた場面。
そのとき艦長のマリュー・ラミアスは艦上部にある主砲「ゴットフリート」の射線を通すため、ノイマンにバレルロールの指示を出す。
指示を受けて多少の動揺を見せたノイマンだが、全長420mにも及ぶアークエンジェルの巨体を重力下で鮮やかに360度バレルロールさせることに成功。そのノイマンの神操艦に合わせて放たれたゴットフリートはグーンに命中し、見事海中の敵を排除したのだった。
さらにノイマンによるバレルロールは、続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の最終話でも行われた。さまざまな窮地を類まれなる操艦センスによって脱してきたノイマンのことを、ガンダム界における最高の操舵手と称える声もあり、多くのファンから愛されている。
そして、ノイマンの神操艦は『DESTINY』の終了から18年の時を経て、2024年に公開された劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』でも披露された。
それは超巨大ビーム兵器「レクイエム」が、戦艦「ミレニアム」に向けて放たれた場面。艦長のマリュー・ラミアスの「緊急制動!」の号令に従い、ノイマンが操艦するミレニアムは艦首を天方向に向けて直立するような態勢に。そのまま艦体をひねりながら背面飛びのような姿勢で進行方向を変え、レクイエムの直撃を華麗に回避したのである。
およそ巨大戦艦とは思えない挙動での回避技術には驚かされる。18年ぶりに魅せたノイマンの神操艦に、多くの『SEED』ファンが感動したことだろう。
絶対に撃沈することが許されない主人公たちが搭乗する母艦。そんな大切な艦を任された操舵手たちによる神回避シーンは、フィクションとはいえロマンに満ちあふれている。ガンダム作品ではパイロットのほうが注目されがちだが、今後生まれる作品でも腕利きの操舵手による鮮やかな操艦シーンに期待したいものだ。