■お互いの強さを認めていたヤジロベー

 こちらも意外かもしれないが、実は悟空とヤジロベーは決着がついていない。悟空はタンバリンに負けて森をさまよっていた時にヤジロベーと出会った。

 その際、悟空がヤジロベーの焼いていた巨大な魚を勝手に食べてしまい、それに気付いたヤジロベーは悟空を盗人として成敗しようとする。

 こうして2人の初対決が始まるのだが、力が均衡していて勝負がつかない。どちらも、「な…なんだこいつ……」と内心驚きつつ、お互いの強さを認めていた。

 その時のヤジロベーの強さは、ピッコロ大魔王の配下であるシンバルを刀で簡単に両断してしまうほどだ。そこからも悟空と同じくらいの強さを持っていたのが分かる。

 しかしそれ以降に2人が再戦する場面はない。ピッコロ大魔王の力を恐れたヤジロベーがあっさり戦線離脱してしまったからだ。そのためヤジロベーは、戦いに参戦するのではなく見守るようになり、仙豆を持ってきてくれる便利キャラのようになってしまった。

 悟空たちが安心して戦えるのはヤジロベーの活躍も大きかったので、そういう意味では無視できない存在だ。さらにベジータ戦では、ヤジロベーが大猿になったベジータの尻尾を切ってくれなかったら負けていただろう。

 そういう関係性からも、あの時ふたりが引き分けていたのは逆に良かったのかもしれない。

 

 数々の修行を積み強くなるまでは、悟空も未熟な存在だった。そのため、意外な相手に負けてしまうことも仕方がない。

 しかし、そういった描写があることで、悟空の過去を懐かしく思い成長を感じることができる。

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