■大量の蛇に襲われる漁村…残酷な仕打ちをする竜牙会
最後は「黒き因縁の巻」「黒き蛇!!の巻」「黒き訣別の巻」に登場する、竜牙会の刺客・蛇皇院の外道ぶりを紹介しよう。
組織の脱退後、黒い天使と行動していることが竜牙会にバレてしまう麗羅。彼らを抹殺するべく、竜牙会からワイヤーを使う魔木、水を自在に操る水鵬、そして大量の蛇を操る蛇皇院が刺客として現れる。
魔木と蛇皇院は無関係の人々を襲い、黒い天使をおびきだそうとする。罠と知りつつも外道を許せない雪藤と松田は立ち向かうも、竜牙会の実力に追い詰められていく。しかし、そこで組織に反旗を翻したのが、のちに黒い天使の仲間となる水鵬だ。彼は麗羅と一緒に修練を乗り切った同胞で想い人でもあった。
ところが、この裏切りに憤ったのが蛇皇院だ。裏切った水鵬と麗羅への報復として、この一帯の漁村を毒蛇で襲い皆殺しにしてしまう。子どもも犠牲となっており、とてもやるせないものだった。大量の蛇に襲われるなんて想像を絶する恐怖でしかないだろう……。
さて、『ブラック・エンジェルズ』には、ほかにもショッキングなシーンがたくさん登場する。
仲間を守るためにヘリに特攻した水鵬の首を持つ松田のシーンや、卑弥子による蛾の大軍が陸上自衛隊の特殊部隊を壊滅させるシーンには戦慄を覚えた。
また、仲間を次々に殺され、怒りに燃える雪藤が復讐を果たす際の残忍な手口も印象的だ。雪藤が敬愛する神父・鷹沢を殺したスナイパーはバイクで顔面から轢き殺し、自衛隊将校・水原英行はスポークで顔を十字に引き裂き、水原と一緒にいた玲子はスポークが自動で回転しながら眉間に突き刺さっていく技で抹殺。
敵味方問わず、こんなトラウマ級のストーリーや殺し方を「ジャンプ黄金期」に連載していたのだから恐れ入る。だが、時には被害者全員の命が救われるエピソードもあり、ホッと胸をなでおろしたものである。