■背中は怖いが人生経験の豊富さ…『島さん』島さん
シニア世代で頑張っているのが、川野ようぶんどう氏の『島さん』(双葉社)の主人公・島さんだ。
島さんは深夜のコンビニバイトで働く、ワケありのおじいちゃんだ。長年働くベテラン店員で、別店舗からもヘルプを頼まれるほど信頼されている。
そんな島さんの背中には昇り龍の入れ墨がある。詳しくは明かされていないが、どうやら過去に何かあったらしく、昼夜問わず働く生活を送っているのだ。
島さんは人生経験の豊富さからか、とても温厚で優しい性格をしており、コンビニで起こる小さなトラブルを次々におさめていく。
島さんが働くコンビニに強盗が入り、それが実は一緒に夜勤で働いていた元同僚だったことが分かった際も、人生はいつでもやり直しがきくと諭す。また、仕事に失敗して自信が持てなくなった就活中のアルバイト女性には、普段の彼女の仕事ぶりを褒め、「地道にやれば大丈夫」「誰かが見てるし」と諭す。
相手の立場になって聞き役になり、誰に対しても平等に親身となって接するのが島さんの素晴らしさだろう。人のことを自分のことのように喜び、自然と相手の心を和らげていく。
就活中のアルバイト女性から「島さんが上司だったらいいのになあ」と言われていたが、たしかに伸び伸びと仕事をさせてもらえそうだし、責任もきちんと取ってくれそうだ。
アラフィフに差し掛かった筆者にとって、とても励みになる言葉が満載の本作。人生に息詰まりそうなとき、島さんの言葉を思い出せば何とかなりそうな気がするな。
中高年のオジさんが主人公の漫画は少ないが、ここで紹介した作品はどれも共感できる部分があるだけに面白い。この3人が一緒に飲みにでも行ったら、きっと意気投合するのだろう。
彼らを見ていると、40代や50代……いや何歳になっても、人生はやり直すことができると思えてくるものだ。