ダメだって分かっていても…『NANA』身近にいたら絶対好きになる「アブない男たち」レンやタクミ、ヤスにシンも…の画像
コンプリートDVD-BOX『NANA-ナナ-』第1巻(バップ)(C)矢沢漫画制作所/集英社・VAP・マッドハウス・NTV

 2000年より『Cookie』(集英社)にて連載が開始された矢沢あい氏の漫画『NANAーナナー』。スタイリッシュで繊細な作画、個性的なキャラクターたちが織りなすドラマチックなストーリーは一世を風靡し、社会現象をも巻き起こした。

 本作は、キャラクターそれぞれの恋愛模様も見どころの一つだった。とくに男性陣はカッコ良く魅力的で「自分だったら誰を好きになるか」と考え、ファンは楽しんだものだ。

 だが、本作に登場する男性キャラたちは危うい部分を持つ人物も多く、彼らと恋に落ちる女性キャラたちにハラハラしてしまうこともあった。ダメだと分かっていても惹かれてしまう……その気持ちも分からなくはなく、ある意味それもリアルだったように思う。

 今回は『NANA』の男性キャラのなかで、身近にいたら絶対惹かれてしまうちょっと危険な男性たちを紹介したい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■弱さも魅力? ほっとけないロックスター「本城蓮」

 本作の主人公の1人、大崎ナナの恋人が本城蓮(レン)だ。

 2人はナナが地元でバンド活動をしていた頃からの付き合いだった。レンの上京がきっかけで一度は破局を迎えるも、周囲の手引きによって復縁した2人。以降は仲睦まじく過ごす様子が描かれていた。

 レンはイギリスの伝説的バンド『セックス・ピストルズ』のシド・ヴィシャスに似た端正な顔立ちで、ギターの腕も超一流だ。その見た目とテクニックから、自身のバンド、TRAPNEST(トラネス)でも人気が高くまさにロックスターであった。

 しかし彼には裏の一面がある。それが薬物中毒だ。作中では、トラネスの事務所の社長・成田充から与えられる薬物に依存している様子も描かれていた。

 レンは見た目とは裏腹に温厚で優しい。だが、精神的に脆い部分がある男性だ。トラネスとナナの両方を大事にしたいという複雑な感情、ナナを傷つけて別れてしまった自責の念、そして、ナナがいなくなった寂しさから逃げるため、薬物に手を染めてしまった。依存症に苦しむレンの様子は、本当に痛々しかった。

 とはいえ、どんなに多くの女性にチヤホヤされていても、ナナを一途に愛するレンはカッコいい。ナナへの誕生日プレゼントを密かに用意していたことからも、彼の愛情深さや誠実さがうかがえる。そんなレンに訪れた悲劇的な展開に、しばらく気持ちが落ち込んだのは筆者だけではないだろう。

■売れっ子バンドマンだが冷酷な一面も…「一ノ瀬巧」

 小松奈々の夫となる一ノ瀬巧(タクミ)はトラネスのリーダーで、サラサラの長髪が似合うイケメンだ。スラリと伸びた手足に高身長と、スタイルも抜群である。

 もともと奈々はタクミのファンだった。それを知っていたナナはサプライズで奈々とタクミを引き合わせるのだが、この出会いが奈々の運命を大きく変えてしまうこととなる。

 タクミはバンドのリーダーとして舵取りを任されており、仕事ではいつもクールに物事を運ぶ。妊娠させた責任を取るべく奈々との結婚を即座に決めていたことからも、責任感は人一倍強いと言えるだろう。

 だが、タクミには冷酷な一面がある。妻がいながらも浮気を平気でしたり、奈々とBLACK STONES(ブラスト)のメンバーを無理やり引き離したりと、自己中心的な部分がたびたび見られた。

 才能に溢れた人物であることは確かだが、愛情面ではどこか欠落している印象だ。奈々も「タクミの言うなりになってたら あたしまでどんどん冷たい人間になっちゃうよ」と、漏らすほどだった。

 タクミがそのような性格になったのは、複雑な家庭環境で育ったことも関係していたようだ。それに対し、普通の温かい家庭で生まれ育った奈々。彼女の天真爛漫な可愛さにタクミが惹かれたのもうなずける。

 彼らの未来がどのようになったのか、そのすべては分からないが、数年後のタクミが自身の子どもに優しい眼差しを向けている姿を見ると、奈々の努力は報われたのかもしれない。

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