■36歳のオールドルーキーが成し遂げたメジャーリーグ連続50セーブ! 『フォーシーム』逢坂猛史

 元・巨人の大エース、菅野智之さんが今年35歳という年齢でメジャーリーグに挑戦し、活躍を見せている。一方、漫画の世界でも、メジャー史上に残る大暴れをした36歳の日本人が存在する。さだやす圭さんが手掛ける『フォーシーム』(小学館)の主人公・逢坂猛史だ。

 荒っぽい気性が災いして日本プロ野球界を追放された逢坂は、現役続行の望みを繋ぐべく、メジャーリーグに挑戦する。最初は誰からも期待されなかったが、ベテランの投球術と男気で周囲を認めさせていく逢坂。シーズンが始まると試合を締めくくるクローザーに任命され、なんと一度も失敗せず連続50セーブ成功の偉業を達成した。

 シーズン50セーブは、現実のメジャーリーグでは17人しか達成者がなく、日本人では元・シアトルマリナーズ所属の佐々木主浩さんが2001年に達成した45セーブが最高である。一度のブロウンセーブ(セーブ失敗)もなく、単年で連続50セーブは規格外としか言いようがない。

 何より現実離れしているのは、スポーツ選手として全盛期を過ぎたと思われる36歳での偉業達成という点だろう。作中では「オールドルーキー」と野次られたりもした逢坂だったが、年齢とともに積み重ねた経験を活かしてバッターを抑えまくった。

 成功には年齢も国境も関係ない。まさにアメリカンドリームである。

 

 野球漫画の主人公たちが達成してきた数々の記録を見ると、現実では到底不可能なもの、と思ってしまいがちだ。

 ただ、現実のプレイヤーたちも負けていない。特に『MAJOR』の吾郎が獲得したサイ・ヤング賞は、ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸選手、ニューヨーク・メッツの千賀滉大選手、シカゴ・カブスの今永昇太選手といった日本人が獲得を有望視されている。大谷選手がピッチャーとして復活すれば、もちろん候補のひとりに食い込むだろう。

 漫画で描かれた荒唐無稽な大記録が、大谷選手らの存在によって、リアルな数字になることも十分に考えられる。現実が漫画に追いつき、アンタッチャブルレコードを打ち破る日は訪れるのだろうか。

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