■ウエンツ瑛士が変身ヒーローに?『タイガーマスク』
2013年に公開された『タイガーマスク』は、1967年から連載された原作:梶原一騎さん、作画:辻なおきさんの名作プロレス漫画の初の実写化映画である。
主演・伊達直人(タイガーマスク)を演じたのは、かつてNHKの子ども番組『天才てれびくん』で人気を博し、「WaT」として歌手活動もしていたウエンツ瑛士さん。
映画は原作の基本設定をベースにしつつ、プロレスではなく地下格闘技組織に舞台を置き換えるなど現代風にアレンジされている。また、タイガーマスク自体も、仮面を装着すると全身がアーマー状のスーツに覆われる仕様に変更されていた。漫画とは違うメカニックなスーツには少し違和感もあったが、タイガーマスクの活躍は特撮作品のヒーローのようでワクワクさせられた。
メガホンを取った落合賢監督によると、悪役レスラーの養成所「虎の穴」のシーンは宇都宮の採石場(洞窟)で撮影され、粉塵がひどくスタッフもキャストも喉をやられてしまうほど過酷な状況だったという。それでも、ウエンツさんはセリフをトチってNGを出すことは一度もなかったそうで、彼の役者魂を感じられるエピソードも明かされていた。
また、本作はキャスト陣も見どころだ。直人の幼馴染・若月ルリ子役を夏菜さんが、虎の穴・東京支部を率いるミスターX役を哀川翔さんが演じている。また、虎の穴のスタッフには、タイトな衣装に身を包んだ女性トレーナー・レイナ役の釈由美子さんを筆頭に、平野綾さんや宮地真緒さんなど、豪華な顔ぶれが揃っていた。
物語は、ウエンツさん演じる直人が虎の穴東京支部を壊滅させて終了する。エンディングロール後には続編を匂わせるエピローグも挿入されていたが、現時点では続編は制作されていないようだ。
今回紹介した作品は、いずれも思い切った攻めすぎ演出が話題を呼んだ実写化作品ばかりである。当時は賛否を呼んだものの、あらためて振り返ってみると、その「クセの強さ」ゆえに記憶に残る一作となっている。
特に、型破りなキャラクターやトンデモ設定に真正面から挑んでいた俳優たちの姿は必見だ。実写化の面白さや奥深さを再発見できる、印象的な作品たちであった。