『ドラゴンボール』や『ワンパンマン』にも…「ホントは弱いキャラ」が強キャラ扱いされるようになった絶妙な理由とは?の画像
『DRAGON BALL Z』 #30 [DVD] ©バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 漫画やアニメに登場するキャラの中には、本当は弱いのになぜか周りに「強キャラ」として扱われている者がいる。

 きっかけは周りのささいな勘違いから始まり、そこから本人とは関係のないところで、過大評価されてしまう……。そこから本人も強者として振る舞わなくてはならないといったパターンに陥る。

 そんな「過大評価を受けてしまっているキャラ」がその地位にのし上がった理由について、いくつか取り上げて紹介していこう。 

 

※本記事には各作品の内容を含みます

■人の心を動かす力を持つ『ドラゴンボール』ミスター・サタン

 まず紹介したいのが鳥山明さんによる『ドラゴンボール』(集英社)に登場するミスター・サタンだ。サタンは、セルゲームでセルに真っ先に戦いを挑んだ格闘家である。

 噛ませ犬のような存在で、セルに勝てるような強さを持っていないことは一目瞭然。案の定、戦いが始まって攻撃を仕掛けてもまるで効かず、セルの軽い一撃ではるか後方に吹き飛ばされたが、どうにか無事な様子。無関係の人間をあれだけ殺していたセルなのに、サタンのことは殺す気にもなれなかったようだ。

 そんなサタンなのに、最終的にはセルを倒したヒーローとして扱われてしまう。その理由は、セルの撃破後悟飯たちが姿を消したのを良いことに、「わ わたしが倒しちゃったかな――」と宣言したからだ。

 それによってサタンは「世界最強」として担ぎ上げられ、誰もその強さを疑わなかった。このままではいつかボロが出るのでは?と思われたが、そんなことはない。サタンの持つ強運、人の良さでイメージを壊すことなくみんなのヒーローのままだ。

 その後、天下一武道会での人造人間18号との戦いでは、18号の提案で金と引き換えにわざと負けてもらい名誉を保つことができた。

 また、誰も手なずけられなかった魔人ブウと良い関係性を築いたのもスゴいところだ。みんなブウのことを力で従わせようとして失敗してきたが、サタンは違う。弱すぎるから何をやってもブウからすると遊び相手にしか思えないのだ。

 そこからブウに気に入られ、ともに過ごすことで互いに心を通わせる。嘘が真になってしまったような形である。

 全てが上手く転がってしまうのがサタンの人生だが、それは弱さゆえの必死さで人の心を動かす力があるからだろう。ある意味、悟空たちにはない強さの持ち主だといえるのかもしれない。

■強すぎる加護の力の持ち主?『ワンパンマン』キング

 次は原作:ONEさん、作画:村田雄介さんによる『ワンパンマン』(集英社)のS級ヒーローであるキングを紹介したい。

 キングはいかにも強そうな、金髪のオールバックに、顔の左側には3本の大きな傷あとがある、ゴツい男性だ。S級ヒーロー7位という実力の持ち主……というのは肩書だけで、実はどこにでもいる普通の人間だ。

 そんな人間がどうしてS級ヒーローになれたのかというと、主人公であるサイタマが怪人を倒した現場にたまたま何度も居合わせたからである。キングは何もしていない。ただそこにいただけだ。それを周りの人間が勝手に勘違いして、キングを最強のヒーローと祭り上げてしまった。

 キングからすると青天のへきれきだっただろうが、わざわざ否定する勇気もない。かなりのビビりだ……。そのためキングの強さはいろんな人間や怪人の想像で膨らんでいき、とんでもない強さを持つ化け物のようになってしまった。

 そういう意味でもキングは、どんなに強くても周りから評価されないサイタマと正反対だといえるだろう。

 しかもキングが自分の実力を明かさなくてはならない場面になると、それを遮るかのような出来事が起こりがちだ。これを見ても、キングは何かに守られているとしか言いようがない。キングに強さは無いが、他のキャラにはない強力な加護の力が働いているのかもしれない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3