「ただのギャグキャラじゃない!」クセ強でも憎めない…『キングダム』「天然系武将」の秘めた実力 オギコにバミュウ、騰も…の画像
アニメ『キングダム』第6シリーズビジュアル  ※画像はアニメ公式サイトより ©原泰久/集英社・キングダム製作委員会

 漫画やアニメ、映画も大人気の、原泰久氏による『キングダム』。主人公の信をはじめ、個性あふれるユニークな登場人物が多く、敵味方ともに魅力がいっぱいだ。現在、アニメは第5シリーズまで放送されており、秦側の桓騎軍と趙側の紀彗軍の手に汗握る攻防が繰り広げられた。

 さて、そんな桓騎軍には、筆者の大好きな「オギコ」がいる。見た目からしてユニークな彼は初登場時から千人将であったが、個性豊かな桓騎軍の面々のなかでも桓騎に気に入られている奇抜な存在だ。

 そんなオギコも含め、なぜ将軍の側近になれたのかが不思議に思えてしまう「天然武将たちの実力」を振り返っていきたい。

※本記事には作品の内容を含みます

■不思議キャラなのに桓騎からの信頼も厚い…伝令でも活躍する「オギコ」

 まずは冒頭でも挙げた、桓騎軍の「オギコ」だ。

 初登場は「合従軍編」で、函谷関の城壁で防衛を担っていた。桓騎軍で一番弓矢が下手だとバカにされているのを気にしていたのか、放てば誰でも当てられそうなほど敵兵がひしめく中へ矢を放ち、「当たったー!! 見たー!?」と大喜び(敵兵の肩当てに刺さったため、意味はなかったが……)。それでも興奮気味に「今日のオギコは かーなり きてるっぽい! ぽいよー!?」と、喜び方も独特だ。

 三方向に捻じれた髪型や大きな鼻ピアス、いつも上半身裸というその独特の風貌もさることながら、策略や戦術といった頭脳戦には向いていないタイプである。桓騎は面白いという理由でオギコを千人将にしたそうだが、部下からしたらとんでもない話だろう。

 だが、そんなオギコは実は意外と強い。「合従軍編」にて、魏軍の巨大井闌車に対して油の入ったタルを落として火矢を放つ桓騎。その傍らでオギコは敵兵士の顔面に蹴りを浴びせ、さらに右手には敵兵を切ったであろう血の付いた剣があった。弓矢は苦手でも、接近戦には強いのかもしれない。

 さらに、もう一台の巨大井闌車がかけられた際、オギコは馬に乗って先頭に立ち、援軍に入っている。そのときの風貌はいつもの天然キャラのそれではなく、信のように精悍な顔つきをしており、読者を痺れさせた。

 その後、飛信隊が参入した秦と趙が戦う「黒羊丘編」では、伝令役として飛信隊に赴くオギコ。作戦会議の場では地図上にある5つの丘に駒が置かれたのを見て、“女性の胸”のようだと信に何度も促し、さすがに話が進まないからか、桓騎も「オギコ 肩」と“肩もみ”を促していた。緊張感のないところも、天然キャラといえるものだ。

 ちなみに、作中で桓騎はオギコに肩もみをさせているシーンがたびたび登場している。会議の邪魔をしても特に怒ることなく、信用して自身の体を触らせているのだから、よほどお気に入りなのだろう。

 のちにつながる伏線にもなってしまうため詳しくは書けないが、実は桓騎が伝令役としてオギコを抜擢するのには重要な意味があった。これはぜひ、原作で確認してほしい。

■媧燐のパワハラにもめげない…実は実力のある副官「バミュウ」

 超大国の楚にも奇抜な天然キャラが登場する。それが、同じく「合従軍編」で初登場した「バミュウ」だ。

 バミュウは第二軍を率いる将軍・媧燐の副官とはいえ、頭頂部から伸びるボサボサの髪、歯もところどころ抜けており、もはや『北斗の拳』のザコキャラを彷彿させる風貌だ。

 初登場シーンでバミュウは、騎馬で駆けてくる。よく見ると馬の上に両足を置いてアクロバティックな騎乗を見せているではないか! 意気揚々と「準備が整いましたァ うはァ」と報告するのだが、「おっせェんだよ」と、媧燐に蹴りを喰らう。

 そこから櫛を取り出しカッコつけて髪をとくバミュウだが、「(戦いを)さっさと始めろ」と、さらに背中を蹴られており、あげくには後頭部を足で抑えられ、ロープで首を締めあげられてもいる。

 超ドSキャラの媧燐にやられ放題だが、めげずに健気に副官を務め続けているところを見ると、バミュウ本人もまんざらではないのかもしれない。

 ただ、そんなバミュウは、数万を誇る媧燐軍に戦闘開始の号令をかけていたりもするため、副官としての実力はあるようだ。原作60巻での「什虎城の戦い」では、媧燐不在のため昌平君や李牧のように地図の前で腕を組み、攻めてきた秦との戦略を練ろうと中心になって指示を出しているシーンもある。

 だが、そこでタイミング良く戻ってきた媧燐に戦略の穴を指摘され、さらに振り向いた拍子に彼女の胸を触る失態を犯し、壁にたたきつけられていたが……。そんなバミュウを横目に、周囲の文官たちも何事もなかったかのように媧燐を出迎えている。

 いつも媧燐のパワハラをひとり受け続けているバミュウの存在は、周りからしたらありがたいものなのかもしれない?

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