■タイミングを間違うと二度と手に入らない召喚獣
このように、後から知っても「もう手に入らない」というアイテムが豊富に用意されている『FF』シリーズ。残りタイムが刻まれる時間制限イベントだけでなく、うっかりタイミングを逃すと「手に入れられなくなる」という要素もあり、たとえば『ファイナルファンタジーV』(1992年)では、進め方次第で「シヴァ」が手に入らなくなる。
シヴァは氷の属性をもつ「ダイアモンドダスト」で全体攻撃できる召喚獣であり、序盤で手に入れればかなり強力であり、ウォルス城の地下に封印されており、戦って倒すことで手に入れることができる。ウォルス城の地下の情報については城の兵士などから聞くことができ、多くのプレイヤーがシヴァを求めて地下を探検したはず。
だが、そんなプレイヤーを苦しめた強敵がウォルス城の地下にいたのだ。それが「ガルキマセラ」というモンスターである。ガルキマセラは、シーフのアビリティ「けいかい」がなければ必ずバックアタックされ、その時期では恐ろしいほどの攻撃力を誇り、逃げることもままならない。いわば初見殺し系のザコ敵だ。
このガルキマセラにあっさり全滅させられたことで、「ウォルス城の地下は、この段階で挑むのはまだ早いのでは?」と先に進んだプレイヤーも多かったことだろう。
そしてそのまま冒険を続けているうちにウォルス城の地下のことなど忘れてしまい、第二世界まで進めてしまえばアウト。召喚獣シヴァは二度と手に入らなくなってしまう。多分に漏れず筆者も初回プレイではシヴァを取り逃している。
シヴァに限らず、『FF5』では、ギルガメッシュからしか盗めない「源氏シリーズ」の防具や、手に入る時期が限られている吟遊詩人の歌(「あいのうた」「ゆうわくのうた」「まりょくのうた」)など、取り逃しやすいものが結構多い。だが、『FF3』で初登場し、炎のイフリート、雷のラムウとともに、同時期に手に入る3属性召喚獣トリオとして名をはせたシヴァを手に入れられないというのは衝撃的だった。
『FF』シリーズは他にも取り返しがつかないほどではないにせよ、期間限定で手に入り、取り逃すと二度と手に入らないといったものが多い。それが逆に、細かい部分までチェックさせる動機にもなった。