
ゲームでは攻略に必要、不必要は問わず、用意されているアイテムはできる限り手に入れたくなってしまうもの。ただ、中には普通にプレイしているだけでは取りこぼしてしまうものもあり、後に人からそのようなアイテムの存在を聞き、悔しい経験をしたという人も少なくないはず。
その最たるものは、スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジー』シリーズかもしれない。数あるRPGの中でも特に『FF』シリーズには、一定期間がたってしまうとそれ以降は絶対に入手できないという、「取り返しのつかない」アイテムや召喚獣などが多数用意されていた。
※本記事には各作品の内容を含みます
■多くのプレイヤーが最初は助けられなかった仲間
たとえば、『FF』シリーズには、たびたび「時間制限つき」のイベントが登場する。画面隅にタイムが表示され、残りの時間でダンジョンを抜けたり、ボスを倒したりとしなければならないが、このイベント中にも、後からは入手できないレアなアイテムなどが設置されていたりする。
『ファイナルファンタジーVI』(1994年)のシャドウは、時間制限つきダンジョンで多くのプレイヤーが救い損ねたであろうキャラクターだ。
彼は黒服に身を包み、金さえ払えばどんなことでも請け負うというミステリアスな存在として、序盤から幾度となく登場する主人公キャラの一人だ。だが、役目が終わったらパーティを離脱してしまい、本当の意味で仲間になることはないままストーリーは佳境を迎える。
主人公たちは、敵対するガストラ帝国の皇帝ガストラとその部下ケフカが封印されていた三闘神の力を解放し、魔大陸を復活させる。シャドウはガストラとケフカに雇われており、三闘神を復活させた際に始末させられかけたが、かろうじて生き残っていた。
魔大陸では協力して戦ってくれるが、ガストラやケフカとの決戦を前に、一度はガストラ側についていたことに引け目を感じ、ともに戦う資格はないとパーティを離脱してしまう。
だが、ケフカがガストラを裏切り、さらには三闘神の力を暴走させ、魔大陸が崩壊しかかったところでシャドウが現れ、またも主人公たちを助けてくれる。
シャドウは逃げるよう指示し、主人公たちはそのおかげで崩壊する魔大陸の中を抜け、命からがら飛空艇のところまでたどり着くことになる。
このイベントは6分以内に脱出しないといけないという制限時間つきのイベントのため、初見のプレイヤーはシャドウのことは気になるものの、なんとか間に合うようにと飛空艇に乗って急いで脱出したことだろう。おそらく「シャドウはきっとなんとかして脱出する」ということを期待しながら。
だが、その場合はシャドウは脱出することができず、そのまま魔大陸で最期を迎え、以降二度と現れることはないのだ。
シャドウを仲間にするためには飛空艇に乗り込む前にすぐ乗り込まず、「シャドウが気になる」という選択肢を選び、残り5秒まで待たなければいけない。崩壊のカウントダウンが迫る中、この5秒というのが恐ろしい。いつまで経ってもシャドウは現れず、本当にギリギリまで待たないといけないのでしびれを切らし、飛空艇に飛び乗った人も多かったことだろう。
■ゲーム開始からの時間制限がある最強武器
時間制限による「取りこぼし」でいえば、『ファイナルファンタジーIX』(2000年)の最強の武器・エクスカリバーIIにも触れておきたい。
エクスカリバーIIは、ゲーム開始から12時間以内にラストダンジョン「記憶の場所」の指定場所まで到達しなければならないという、壮大な時間制限イベントによって手に入る。
もちろん初見で手に入れるのは不可能に近いため、やりこみ要素の部類に入るが、その情報を知ったとしてもゲーム開始から12時間というのはかなりシビア。せっかくのプレイステーションの美しいムービーもスキップせざるをえないほどだ。
セーブするのも慎重にならざるをえず、イベントなどに時間をかけた後にセーブしてしまうと、「もうこの後はどうやっても間に合わない」という事態になる。
かなりシビアな制限時間をクリアすることでようやく手に入る武器である。筆者は残念ながら手に入れることができなかったが、スタイナーにとっての最強武器でありその破壊力は抜群。『FF9』は今年7月にプレステ版の発売から25周年を迎えるタイトルで、周年記念にさまざまなイベントが行われている。当時は存在すら知らなかったという人も、久々にプレイし入手に挑んではいかがだろうか。