アフレコに挑戦したからこそ気づいたこと
――なぜ「向いていない」と感じられたのでしょう。
水上 声優の世界に限らず、どんな世界でも「自由にやれる領域」にまで行くことって、簡単ではないですよね。
「天才」と言われる人はすぐにたどり着けるかもしれないけど、そうではない人間からすると、今の自分にはまだ難しいと痛感しました。
――事前にかなりシナリオを読み込んでからアフレコに臨まれたと伺いました。
水上 声優としての技術がないので「せめて解釈だけでも」という悪あがきです(笑)。僕はこれまでアフレコ用の台本を見たことがあまりなかったので、最初は少し慣れないところもありました。
声優はすでに「画」が作られているものに声をはめていくのですが、役者は「画」も声も同時に撮っていく作業なので、そこが全く違うんです。
画を見て初めて「ここはこういう表情をしているんだ」ということが分かるし、「セリフはこう書いてあるけど、この表情ならニュアンスを変えなきゃな」といったチューニングもその都度現場でやらないといけなかった。なので、今回は台本から読み取りすぎても良くないと思いましたし、実際に画を見て「こういう意味なんだ」と分かっていく感じでした。
――これを機に、またいつか声優に挑戦してみたいという気持ちになりましたか?
水上 いやあ、どうですかね。今回のアフレコがすべて終わった後も、手ごたえを感じるというよりは悔しい気持ちのほうが強くて、家に帰る足取りも重かったです(笑)。
もちろん「いつかまたやってみたいな」という気持ちはありますが、それだけでできるものでもないですし、声優という世界はそんなに生ぬるいものではないと思うので、今の段階での発言は控えます。
