
1977年より連載が開始された、松本零士さんの『銀河鉄道999』。誕生からすでに半世紀を迎えようとしている本作だが、主人公の少年・星野鉄郎と謎の美女・メーテルが体験する宇宙旅行は、まるで未来を予見しているようなシーンも多い。
ところで未来を予見するイベントといえば、今年の4月13日から大阪で始まった「日本国際博覧会(大阪・関西万博)」が話題だ。ここでは「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、世界各国から集まった先端技術や文化が展示されている。
しかしその内容をよく見てみると、なんと『銀河鉄道999』に登場しているようなアイテムや空間も多いのだ。昭和時代に描かれた『銀河鉄道999』と、令和のいま、開催されている「大阪万博」に登場する類似アイテムをそれぞれ比較してみたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■まるで「ミライ人間洗濯機」!? 風呂嫌いの鉄郎もハマったインセクターの“人茹で機”
大阪万博の大阪ヘルスケアパビリオンには「ミライ人間洗濯機」が展示されている。これは1970年の大阪万博で展示された「人間洗濯機」を実現化したアイテムで、少ない水で体をきれいに洗浄しつつ、心電図もモニタリングできるという優れものだ。
そんな「ミライ人間洗濯機」に似たアイテムは『銀河鉄道999』にも登場している。
「終わりなき夏の物語」にて、“終わりなき夏の惑星”に下車した鉄郎とメーテル。そこはインセクター(昆虫人間)の住む星であり、捕まった鉄郎はグラグラと煮立った茹で機に落とされてしまう。しかし地球とは違う惑星のためか沸点が異なるようで、人間にとってその茹で機のお湯の温度は適温だった。
しかも激しい渦と煮立ったお湯は肌にちょうど良いらしく、普段は風呂嫌いの鉄郎も「こりゃいい湯だ、いい気持ちだ~!!」とご満悦である。
もともと人から油を取る目的の機器なので、人間が入ったら余計な皮脂が取れてお肌はスベスベになるだろう。万博のように心電図を測定するオプションはないが、インセクターの茹で機はミライ人間洗濯機としても十分使えそうだ。
■話題の「空飛ぶクルマ」にも似た乗り物が多々登場
大阪万博の目玉として話題なのが、モビリティエクスペリエンスに離着陸エリアが用意されている「空飛ぶクルマ」である。
見た目はヘリコプターに似ているが、ドローンのような翼が何個もついており、ヘリコプターよりも騒音が少なく二酸化炭素も排出しない。2030年以降の本格運用を目指して開発が進められているというから楽しみである。
そんな空飛ぶクルマに似た乗り物も、『銀河鉄道999』では多々登場している。
たとえば「次元航海惑星」のエピソードに登場する女王とその手下が乗っている空飛ぶ乗り物。円形の機械の上に立つ仕様のコンパクトな乗り物で、とても快適そうだ。
また「なまけものの鏡」に登場する無人運転の車も宙に浮いている。こちらも比較的小さく、鉄郎1人で座席が埋まるほどの大きさだ。デザインは違えど、近い将来地球でも活躍しそうな車である。
こうしてみると「空飛ぶクルマ」は、すでに半世紀も前に松本さんが考えついているのだから驚きだ。時代を先取りした想像力には、ただただ脱帽である。