■「赤い彗星」のニュータイプとしての目覚めの速度

 初代『ガンダム』におけるニュータイプの代表格といえば、アムロ・レイとララァ・スンが挙げられる。一方、シャアはニュータイプの素養は持っていたが、最終決戦でニュータイプ専用MS「ジオング」に乗りこんだ際も、「問題は、私自身に明確なニュータイプの素養があるかどうかだ」と自身の能力に疑問を抱いていた。

 しかし『ジークアクス』でのシャアはどうだろうか。白いガンダムに初めて乗り込んだ際、シャアは「ザクとは違う面白い操縦法」といいながら、操作系統の異なるMSをいともたやすく操ってみせた。彼には豊富なパイロット経験があったとはいえ、どうしてもニュータイプ的な力が多少なりとも作用したように見えてしまう。

 それにニュータイプ研究の第一人者「フラナガン博士」も、彼のニュータイプとしての高い資質を認識し、「シャアにおけるニュータイプ発生形態」という調査を実施。シャアが優秀なニュータイプであることに太鼓判をおしている。

 ちなみに初代『ガンダム』でのシャアとララァの出会いには諸説あるが、『データガンダム キャラクター列伝 宇宙世紀編I』(KADOKAWA)によると、ザビ家の末弟「ガルマ・ザビ」戦死の責任をとり、シャアが左遷させられた時期に出会った説が有力とある。

 『ジークアクス』ではガルマは戦死しなかったため、そのあたりが二人の出会いにも影響したのかもしれない。シャアが早期にニュータイプに目覚めた理由も含め、現段階で行方が分からない人物たちがどうなったのかも気になる点である。


 『ジークアクス』の鶴巻和哉監督は、劇場先行版の舞台挨拶で「富野由悠季(監督)さんのニュータイプの概念に関して、新しい解釈をしたい」と発言していた。 注目の第3話では、物語は再び主人公のマチュたちを中心に描かれるが、その世界にいるかもしれない初代『ガンダム』に関連するキャラクターたちの動向にも注目したい。

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