■もしかしたらあり得た絶望的な未来?『地獄先生ぬ~べ~』

 1993年より『週刊少年ジャンプ』で連載された『地獄先生ぬ~べ~』(原作:真倉翔氏、作画:岡野剛氏)は、霊能力を持つ教師・鵺野鳴介(ぬ~べ~)が、左手に封じ込めた鬼の力を使い、生徒たちを守るため怪異に立ち向かっていくオカルト・ホラー作品だ。

 原作の最終回では、助けを求める人々のためぬ〜べ〜が九州の学校へと転任を決意。生徒たちとの涙の別れ、そのほか、封じ込めた鬼との和解やゆきめとの結婚など、さまざまな事柄に決着のつく大団円のラストであった。

 しかし、アニメ版では原作の137話「次元妖怪・まくらがえしの巻」が最終回に放送され、重苦しい展開の数々で視聴者を騒然とさせることに。

 このエピソードでは、ぬ〜べ〜のクラスの生徒・稲葉郷子が妖怪・まくらがえしによって、26歳になった未来の世界を体験することとなる。

 未来ではかつて両思いだったはずの立野広がクラスメイトの細川美樹と結婚しており、ショックを受ける郷子。助けを求めてぬ〜べ〜を尋ねるも、なんと彼は悪霊との戦いによる後遺症で、とても戦うことはできない状態になっていた。

 絶望的な未来の光景に泣き叫ぶ郷子だったが、ぬ〜べ〜が鬼の手によってまくらがえしを捕まえたことで、なんとか元の世界へと戻ることができたのである。

 一見、大団円にも思える最終回だが、郷子が体験していた世界が「パラレルワールド」であることが説明されており、もしかしたら今後、原作・アニメで描かれた鬱屈とした未来が待っているのでは……と、視聴者をどこか仄暗い気持ちにさせた。

 ちなみに本作は、2025年7月から新作アニメの放送が発表されている。あらためてどんな最終回が描かれることになるのか注目である。

 

 原作にはない新たな展開が描かれるのもアニメ化の醍醐味ではあるが、ときには漫画版とは大きく異なる結末によって視聴者を驚愕させる。

 ちょっとした場面の描き方の変化のみならず、ときにはエピソードそのものが大きく異なっていたりと、作品ごとにその見せ方もさまざまだ。

 原作とどのような変化があるのか、その違いを見比べてみるのも一興かもしれない。

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