■大海賊時代を築いた猛者たちと生身で戦った歴戦の英雄「モンキー・D・ガープ」
ルフィの祖父であり、非能力者たちの中でも最強クラスのキャラクターであるモンキー・D・ガープも、武装色の覇気の達人だ。
「ウォーターセブン編」終盤で寝ているルフィを強烈なげんこつで起こしたシーンでは、ゴム人間であるルフィに対して打撃によるダメージを与えていた。とくに説明はなかったが、この場面でガープは武装色の覇気を纏ってルフィを殴った可能性もありうる。
ガープの強力な武装色の覇気が初めて明らかになったのは、「ドレスローザ編」で描かれた30年前の回想シーンでの一コマ。氷の大陸を割るほどの破壊力を持つ“錐のチンジャオ”の頭突き技、「錐龍錐釘(きりゅうきりくぎ)」をげんこつ一発で凹ませるという圧倒的な強さで、全盛期のガープの凄さを読者に証明した。
それから30年経っている現在の時間軸でも、その強さに衰えをまるで感じさせなかったシーンが、黒ひげ海賊団の拠点である海賊島“ハチノス”を襲撃したシーン。
遥か上空から地上に向けて放った「拳骨衝突(ギャラクシーインパクト)」は、海賊たちと建物を一掃した驚異的な衝撃波を生んだ。さらに「海底落下(ブルーホール)」でつかんだクザンを地中深くまで叩き落としたほか、島そのものであるアバロ・ピサロの顔面を「拳骨唐竹割(ギャラクシーディバイド)」で破壊するなど、いずれも覇気を纏った素手による攻撃で黒ひげ海賊団を圧倒した。
なお公式ファンブック『VIVRECARD~ONE PIECE図鑑~』(集英社)によると、ガープは覇王色の覇気も有していることが記されている。
現在は黒ひげ海賊団によって捕らわれの身となっているが、いつかまた登場した際には英雄たるその豪快な戦いぶりを披露してもらいたい。
■“黒腕”の異名が物語る武装色の覇気の達人「ゼファー」
武装色の覇気の達人が登場したのは原作だけでなく、劇場版においてもメインの敵キャラが使用している。それが『ONE PIECE FILM Z』に登場したNEO海軍総帥・“Z”(ゼット)ことゼファーである。
元海軍大将であったゼファーは、現役時代、海賊の手によって妻子を殺されただけでなく、自身の教え子である新兵たちも海賊に殺された。その海賊がのちに王下七武海入りしたことで海軍の正義の在り方にも絶望して除隊。以降はNEO海軍を指揮し、新世界ごと海賊をせん滅するという壮大な計画を抱き、ルフィたちの前に現れるのである。
悪魔の実の能力者ではないが、強力な武装色の覇気を両腕に纏って戦う姿から、“黒腕(こくわん)のゼファー”と呼ばれていた。
ルフィによって海楼石製の義手「バトルスマッシャー」が破壊されると、両腕に覇気を纏って“黒腕のゼファー”の本領を発揮する。ルフィと激しい殴り合いを繰り広げるが、御年74歳のゼファーも寄る年波には敵わず、力尽きて倒れ込んでしまう。
己の始めた戦いに落とし前をつけるべく単身で海軍大将・黄猿が率いる軍隊と戦ったシーンでは、その黒腕で多くの海兵をなぎ払い、地面を激しくえぐるなど鬼神の如き戦いぶりを見せた。黄猿の「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」を全身に浴びても立ち続け、最期まで戦い抜くのであった。
悪魔の実の能力を有さず、純粋な戦闘力の高さで海軍大将の座へとのぼり詰めたゼファー。劇場版のキャラクターとはいえ、異名が付くほど強力だった全盛期時代の覇気を用いた戦いぶりなど、その活躍をもっと見たかったキャラクターの1人である。
悪魔の実の能力者たちが猛威を振るう世界で、「能力者じゃないのに強い」というのは読者にとって非常に魅力的な要素である。己の身を武器として能力者たちに肉迫する武装色の覇気の達人たちの活躍は、戦いがより激化していく物語終盤の今だからこそ、あらためて注目しておきたい要素かもしれない。