
尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』の世界において、悪魔の実の能力者に対しても有効な攻撃手段となる「武装色の覇気」という概念。武装色の覇気を纏えば、「ロギア系」(自然系)」の流動する身体も実体として捉えることができ、新世界での戦いでは多くのキャラクターが当たり前のように使用している。
そのなかで、非能力者のキャラクターたちが武装色の覇気の練度の高さをもって能力者に強烈な一撃を与える様子には目を引かれてしまう。
今回は、そうした武装色の覇気を達人級に使いこなす、非能力者たちの印象的な戦いぶりについて紹介していこうと思う。
※本記事には作品の内容を含みます
■幼少期から培った繊細な覇気のコントロール「戦桃丸」
麦わらの一味がまだ覇気の概念を知らないころ、謎の打撃を使う存在としてルフィたちを苦しめたのが、海軍本部科学部隊隊長の戦桃丸だ。
シャボンディ諸島に戦闘兵器パシフィスタを連れて上陸した戦桃丸は、逃げ惑う麦わらの一味に対して追撃を開始。ルフィの前に立ちふさがると両手を前に突き出し「ほいさ!!!」とルフィを軽く弾き飛ばす。謎の力に困惑するルフィに対して間髪入れずに間を詰めると、「足空独行(アシガラドッコイ)!!!」と強烈な突っ張りをぶちかまし、ゴム人間であるルフィに打撃によるダメージを与えるのである。
戦桃丸に手も足も出ないうえ、パシフィスタの存在や海軍本部大将・黄猿まで乱入したこともあって、ルフィですら「こいつらには勝てねェ!!!」と明言し、一味に逃走を促した。
戦桃丸の武装色の覇気は手のひらに無駄なく覇気を流し、敵を内部から破壊するという覇気のコントロールを正確におこなうことが求められる、非常に高度な技であったことがのちに発覚する。
戦桃丸は幼少期に黄猿から修行を受けており、武装色の覇気が高い練度まで達していた。
対してルフィは、ワノ国編の中盤まで武装色の覇気の繊細なコントロールを会得することができなかった。覇気の概念すら知らなかったシャボンディ諸島での戦いで、覇気の達人である戦桃丸に惨敗したのは至極当然のことと言えるだろう。
■驚異の硬度で攻防一体を成す「ヴェルゴ」
新世界の序盤において、武装色の覇気を用いた戦闘で強烈な印象を残したキャラクターといえば、やはりヴェルゴだろう。
海軍本部中将としてGー5の基地長を務めていたが、その正体は王下七武海ドンキホーテ・ドフラミンゴ率いるドンキホーテファミリーの最高幹部の一人であり、強力な武装色の覇気の使い手でもあった。
パンクハザードでサンジの強烈な一撃を食らった際は研究所の鋼鉄の壁にめり込むほど吹っ飛ばされるが、武装色の覇気によって体を硬化していたためか顔色一つ変えずに立ち上がる。そしてヴェルゴが反撃として放った蹴りは、サンジの足にヒビを入れるほどの硬さと威力を持っており、サンジに「鉄の塊か何かか コイツは」とまで言わしめた。
続くスモーカーとの戦いでは、覇気で硬化させた竹竿に息を吹き込みミサイルのように撃ち出すという戦闘法も見せ、遠距離戦にも十分対応可能なことがうかがえる。
サンジとの戦闘や、硬化させた竹竿を振り抜く「鬼・竹(オニ・タケ)」が炸裂したシーンでは「ゴキィン!!」「ボキィン!!!」などといった鈍い効果音で描写されており、ヴェルゴがいかに武装色の「硬化」に特化していたかがうかがえる。
そして最後に対峙したローとの戦いでは覇気を纏い全身が真っ黒になるという、能力者にも見劣りしない異様な姿へと変貌する。
最終的には、ローに覇気で劣っていたことで身体を両断されて敗北を喫したヴェルゴ。とはいえ、武装色の覇気で驚異的な硬さを誇った印象深いキャラクターだった。