■『仮面ライダー555』スパイダーオルフェノク/澤田亜希:綾野剛

 2024年にはNetflix作品『地面師たち』に出演するなど、今や映画やドラマで圧倒的な存在感を放つ実力派俳優として知られる綾野剛さん。その綾野さんが俳優としてのキャリアの第一歩を踏み出したのが、2003年放送の『仮面ライダー555』だった。

 彼が演じたのは、敵組織スマートブレインにスカウトされ、エリート怪人集団「ラッキークローバー」の一員として暗躍するスパイダーオルフェノク=澤田亜希だ。

 かつてはヒロイン・園田真理と同じ「流星塾」で学んだ仲間だったが、オルフェノクとして覚醒してからは思いがねじれ、真理を執拗に追い詰め、かつての仲間たちにも手をかけてしまうという複雑な役を演じた。

 やがて訪れる悲劇的な最期は、今なお多くの視聴者の胸に刻まれている。

 本作で役者デビューとなった綾野さんは、撮影初日のファーストシーンでなんと23テイクを重ねるという“洗礼”を経験。その長い撮影が終わり控室に戻る階段で“自分は役者を始める”と、心に決めたのだという。

 のちに日本の映像作品を支える俳優となる綾野さんの原点は、仮面ライダーから始まっていた。

 

 『仮面ライダー』シリーズからブレイクしていく若手俳優は数多いが、注目すべきは主役のライダーだけではない。今回紹介したように敵役として登場する俳優たちもまた、個性や演技力を存分に発揮できる格好の舞台となってきた。

 現在放送中の『仮面ライダーガヴ』でも、「ストマック家」を演じる若きキャストたちが話題を集めているが、数年後「あのときからすでに光っていた」と語られる日が来るかもしれない。いまのうちから、その存在に注目しておこう。

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