「あたっちゅボウルがトラウマ…」ゲームボーイカラー『とっとこハム太郎2』チビッコたちを半泣きさせた「鬼の難易度」の画像
ゲームボーイカラー専用ソフト『とっとこハム太郎2 ハムちゃんず大集合でちゅ』(編集部撮影) (C)2001 Nintendo (C)河井リツ子/小学館・SMDE・テレビ東京

 主人公のハム太郎をはじめとして、個性豊かな「ハムちゃんず」が活躍する『とっとこハム太郎』。アニメやグッズはもちろんのこと、20年以上前に任天堂から発売されていたゲームシリーズが、今なお名作として語り継がれているのも有名な話だ。

 なかでも、2001年4月21日にゲームボーイカラー専用で発売された『とっとこハム太郎2 ~ハムちゃんず大集合でちゅ~』は、特に評価の高い一作。各ステージに散らばったハムちゃんずを全員「ちかハウス」に連れ戻すという内容で、これだけ聞くと実にシンプルなゲームに思えるかもしれない。

 だが、ストーリー進行のため必要な、ハムちゃんずが使う独特なボキャブラリーが特徴の「ハム語」を収集する過程といい、謎解き要素といい、実は難易度が高くやりごたえがある作品だった。

 当時、子どもだった筆者もずいぶんと苦労させられたが、それでも細部までこだわったグラフィックやハム太郎たちのモーションがかわいく、夢中になってやり込んだ覚えがある。当時プレイしていた子どもたちにとっては、数々の思い出がある作品だろう。

※本記事には作品の内容を含みます 

■一筋縄ではいかぬハムちゃんず

 ハムちゃんずを見つけ出すにはあちこち駆け回る必要があり、おまけに見つけたからといって「じゃあ帰りましょう」とスムーズに話が進むわけではない。

 食いしん坊のこうしくんは「3ねんもののたね」をなくしたとべそをかいて動かないし、おちびのちび丸ちゃんは新しくできたお友だちのカエルと遊ぶのに夢中だし、プレイボーイのトラハムくんは女の子を追い回しているし、普通に追いかけるだけでは永遠に追いつけない。出会ってすぐについてきてくれたパンダくんなどはかなりのレアケースで、逆に拍子抜けしてしまったほどだ。

 また、マフラーちゃんをめぐって対立するライバル・めがねくんとまいどくんはセットで連れ帰る必要があり、進め方によって分岐があるのも細かい。

 「マフラーちゃんへのプレゼントを見つけるまで帰らない」と言ってめがねくんは氷の彫刻を作り、まいどくんはレジで小銭を漁っていたのだが、めがねくんが氷漬けになるルートとまいどくんがレジに挟まれるルートがあるのだ。その後、マフラーちゃんをめぐって対立する「バルっち(ライバル)」であるはずの2匹が「ともち(ともだち)」としてお互いを助けようと奔走する流れは同じで、アツい友情に心揺さぶられたものである。

 ……といった感じで、それぞれ連れ帰るのに苦労させられるハムちゃんの中で、特に多くのプレイヤーを苦しめたのがかぶるくんだろう。彼はちび丸ちゃんとお散歩中にはぐれ、ハム太郎と手分けして探すことになるのだが、その途中でなんとゲームセンターのような場所にある景品・ちゅーまげに釘付けに。ちび丸ちゃんのことなどほっぽり出してショーケースに張りつく始末だ。もちろん、ハム太郎が代わりにゲットして渡してあげるまで、その場を動かない。これには子どもながらにあきれてしまった覚えがある。

 とはいえ、あっさり帰ってくれない理由にはそれぞれの個性が反映されていて、連れ帰るまでの流れややりとりも『ハム太郎』好きにはたまらないものになっていた。ドット絵でそれぞれのハムの多彩な表情や動きが楽しめるため、ずっと見ていても飽きないほどである。

■子どもにはけっこうキツかった難易度

 子ども向けだからといってあなどれない難易度も、本作の魅力のひとつだ。特に前述したかぶるくんを連れ帰る際の「あたっちゅボウル」……この言葉で当時のトラウマがよみがえってくる人も多いのではないだろうか。

 あたっちゅボウルとは、「あたっちゅ(たいあたり)」でボールを飛ばし、目の前のベルトコンベヤーを流れる風船を割っていくゲームである。ちゅーまげを手に入れるにはこのゲームで130点以上をとる必要があるのだが、これがかなり難しい。風船の流れる速度はまあまあ容赦がないし、あたっちゅのタイミングをうまく合わせるのは至難の業。全然クリアできず、ほぼ泣きながら何度もチャレンジした覚えがある。

 ゲームが得意な年上の従兄弟がいたので、代わりにやってもらえばすぐ終わったはずだが、当時の筆者はここで謎の負けず嫌いを発揮。アドバイスはもらうがゲーム機は絶対渡さない意地を見せ、最終的にはどうにかクリアした。あの瞬間の感動は今も忘れられない……。

 また、氷漬けになっためがねくん、もしくはレジに挟まれたまいどくんを助けるためにはそれぞれ「もみもみカイロ」か「レジシール」が必要で、その値段はなんとひまわりのたね99999こ……。その後「スクープ写真を取引の材料にして値引きさせる」という展開になるのだが、これまたヘビーである。幼い子どもではなかなか思いつかない気もするし、実際筆者ははじめ、ひまわりのたね集めにどれくらいかかるのだろうと絶望した覚えがある。

 そのほか、攻略に必要なハム語を集めるためにはいろいろなハムに総当たり的に絡む必要があり、あるステージを進めるため別のステージに……と行ったり来たりする場面も少なくない。難しければ難しいほどムキになる筆者のような子どもにはぴったりだったが、途中で嫌気が差して放り出した子もいたのかもしれない。

 またここでは本編を進める際の難しさについて紹介してきたが、クリア後のハム語コンプリートやこいし集め、スター集めといったやりこみ要素は、さらに難易度が高くなる。しかし、だからこそすべてやり終えた後の達成感もひとしおだった。

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