■安心感はピカイチ!『NANA』高倉京助
2000年から『Cookie』(集英社)で連載されている、未完の名作『NANA』。
大崎ナナと小松奈々、2人の女性主人公を中心に描かれる本作。運命のような出会いをきっかけに同居を始めた2人の、眩しくも切ない人生がファンの心を掴んで離さない。
本作において恋多き女として描かれる奈々は、数々の男性と恋に落ちていく。そんな彼女を身近で見てきたのが、高校時代からの親友・早乙女淳子だ。
奈々は淳子とともに地元の専門学校へ進学するが、そこで淳子の幼馴染だった遠藤章司とその友人である高倉京助と出会う。章司に惹かれる奈々のそばで、あっという間に恋人になる淳子と京助。見た目も似たもの同士の2人は、その後も末長く付き合いを続けている。
おっとりととぼけたことを言う京助にガミガミと淳子がツッコんでいる姿はお決まりであり、時に熟年夫婦のような落ち着きすら感じられる2人。
淳子がいい女であることは作品を読んでいれば分かるのだが、京助も実はなかなかのいい男である。
ドレッドヘアで少しイカツい見た目をしている京助は、同時に何人もの女性と付き合うなどそれなりに遊んできたようだ。だが、淳子と付き合ってからは、彼女にゾッコンで浮気の気配すら感じられない。
章司に「モテたら浮気するのか」と聞かれた際、京助は「しねぇよ」と即答。「淳子が怖いから?」と尋ねる章司に「淳子を失うのが怖いから」と言い切るシーンはカッコ良く、非常に印象に残っている。
大きな包容力と愛情を持つ京助は、大人の恋愛にはもってこいのいい男ではないだろうか。
矢沢あい作品に登場するいい男たち。今回紹介した3名はサブキャラではあるものの、彼らなくしては作品を語ることはできない。
若い頃はついつい女性主人公たちの恋の相手に目がいきがちだが、今、読み返してみると、まったく違う印象を受けるのが面白い。ぜひこの機会に作品を見返しながら、自分のお気に入りのいい男キャラを見つけてみてはいかがだろうか。