のちの大ヒットを予感させる名作も…ジャンプ漫画家たちの個性あふれる「早期終了作品」の画像
「聖闘士星矢 Blu-ray BOX I」(バンダイビジュアル) (C)車田正美/集英社・東映アニメーション

 堀越耕平さんが描く超人気漫画『僕のヒーローアカデミア』は、2024年夏に『週刊少年ジャンプ』(集英社)での連載が完結。とはいえ、公式スピンオフ作品『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミアILLEGALS- 』のテレビアニメが2025年4月7日より放送開始になり、同年秋にはテレビアニメ第8期『僕のヒーローアカデミア -FINAL SEASON-』の放送が決定している。

 そんな大ヒット作を生み出した堀越先生だが、実は『ヒロアカ』は3作目の連載作品。初連載となった『逢魔ヶ刻動物園』は全37話、2作目の『戦星のバルジ』も全16話と、どちらも短期で連載終了していた。

 ほかにも『ワールドトリガー』を手がけた葦原大介さんの初連載作『賢い犬リリエンタール』は全32話で終了、『BLEACH』の久保帯人さんの初連載作『ZOMBIEPOWDER.』も全27話で終了している。

 このように大ヒット作を生み出す有名作家であっても、連載が短期で終了することはたびたび見られる。そこで『週刊少年ジャンプ』で大ヒットを飛ばした人気漫画家の、早期終了となった作品を振り返ってみたい。

※本記事は各作品の内容を含みます。

■「未完」の文字に込められた強烈なメッセージ!

 車田正美さんといえば『リングにかけろ』や『聖闘士星矢』など、アニメや映画にもなった大ヒット作を次々と世に送り出した人気漫画家。ど派手な必殺技やドラマチックなストーリー展開で、多くの読者をとりこにしてきた巨匠である。

 そんな車田先生が『リングにかけろ』『風魔の小次郎』に続き、満を持して連載をスタートさせたのが『男坂』だ。

 同作は“最後の硬派”の異名をとる中学生の菊川仁義が、海外勢力の侵攻に対抗すべく、日本各地の硬派たちと激闘を繰り広げ、仲間にしていく物語である。

 車田先生は『男坂』第1巻の著者コメントにて「ガキの頃からかきたかった作品を手がけている」と熱く語るほど力を入れていた。しかしその想いとは裏腹に、『男坂』の連載はわずか半年ほどで終了。車田先生は自身のサイトで「俺にとって、初めての打ち切り」と語っている。

 同作の最後の見開きページは、大きな「未完」という文字で締めくくられており、その堂々とした終わり方からも車田先生の無念が感じとれる。

 あえてつじつまを合わせるような終わらせ方にしなかった潔さは、多くのファンに衝撃を与え、あれから40年が経った今も、『男坂』のラストシーンは「打ち切り漫画の象徴」として語り継がれるほどだ。

 なお、あの連載打ち切りから30年近く経った2014年に、『週プレNEWS』(集英社)で『男坂』がまさかの連載再開。その後『少年ジャンプ+』に移籍して、2023年11月11日に、ようやく壮大な物語は「未完」ではなく、「完」の文字で締めくくられた。

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