■カスタマイズ技術を体得した理由

──ハンダゴテを使うとか、電線をつなぎ直すとか、内蔵スピーカーを新しくするとか、そういったスキルはどのように修得されたんでしょう。高校が工業科だったとか?

伊藤 いえいえ、普通科でした。きっかけはギターなんです。高校の時にバンドをやっていて。米兵のクラブで演奏すると2000円くらいお金をもらえたんですよ。そんなときにエキサイトしたお客さんが、ブランデーコークかビールか忘れましたが、糖分が入ったドリンクをぶちまけて、ギターにかかってしまい、糖分が固まって音が出なくなったんです。それを同級生の電気回路に詳しいやつに相談して修理したのが最初ですね。

 正直言うと、そういうのは嫌いとはいわないですが、できるだけ他の人にやってもらいたい。ただ自分はせっかちなので、リペアショップに出して修理が完了するまで待ちきれなくて。だから、自分でやるようになったんです。

──その修理技術がおもちゃに応用されたわけですね。せっかちなだけでは、あそこまでできないと思いますが……。

伊藤 たとえば、ライダーベルトを買ってあげると、子どもは実際にライダーが変身する動画を観ながら、自分もベルトをつけて「ヘンシン!」ってやるんです。ところが、待機音と変身音のタイミングがテレビと違うことがあったんですよ。「そんなはずないだろ」と思ったのですが、本当にピッチが違うんです。どうせなら、やはり同じほうがいいじゃないですか。それで、テレビと同じピッチになるように、おもちゃを調整しました。

──そのライダーベルトは、きっと一生捨てられないでしょうね。

伊藤 私自身は、おもちゃというのはたくさん遊ばれて、最後に壊れて捨てられるのが本来の姿だと思っています。ただ『仮面ライダー』というのは何十年も続いているシリーズだから、ものすごい需要があるんですよね。今は日本だけでなくアジアのマーケットでも人気がある。捨てるようなものでも、需要があるなら取っておいたほうがいいよね、と考えるようになりました。

■ELTファンの反応は?

──従来のELTファンの皆さんは、伊藤さんのライダーファンとしての活動に対して、どんな反応をされていますか?

伊藤 「修理してあげて、子どもとコミュニケーションが取れるっていいですよね」みたいな反応が多いですね。たぶん、技術的に言えば簡単なことしかやっていないのですが。

──いやいや、全然簡単ではないと思いますが……。YouTubeでは、ベルトのカスタマイズもすごかったですね。

伊藤 子どもを喜ばせたい一心で、機能を追加して、光らせたり、音が鳴るようにしたり。それがエスカレートしていったんです。

── 特撮のコレクションは、フィギュア、カード、プラモデル、ライダーならベルトなど、いろいろあります。どのように集めて、どのような方法で保管されているのですか?

伊藤 特に何を集めるかは決めずに、その時にグッとくるものを、何も考えずに買っています。家では子どもも遊べるように、わりとそのまま置いているんです。壊れたら直してあげればいいですし、傷ついたら塗装すればいいわけで。

──そうすると、数がどんどんたまっていきますよね。

伊藤 定期的に入れ替えるんです。フィギュアなどは、子どもが夢中になっているものと、自分が好きなヤツを置いておいて。それをときどき入れ替えて、今まで出していたものは箱に入れてしまってます。

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