
1955年に創刊され、今年で70周年を迎える少女漫画雑誌『りぼん』(集英社)。その長い歴史のなかでも過去最高発行部数255万部を記録した1993年末〜1994年にかけての「りぼん黄金期」は、とんでもないラインナップが揃っていた。
たとえば、矢沢あいさんの『天使なんかじゃない』や、吉住渉さんの『ママレード・ボーイ』、さくらももこさんの『ちびまる子ちゃん』、小花美穂さんの『こどものおもちゃ』……などなど、世代を超えて愛され続ける名作たちが多く生まれた時期である。
しかし黄金期だったのは、実は『りぼん』だけではないのをご存じだろうか。当時の少女たちが『りぼん』とともに合わせ買いをして楽しんでいた『なかよし』(講談社)もまた、名作揃いだったのだ。
そこで今回は、1994年の『なかよし』連載作品たちを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■美しい絵柄で描かれる魂たちの物語『闇は集う』
松本洋子さんの『闇は集う』は、1994年2月号から連載が開始された。
彷徨える魂たちが訪れる「闇の中のどこかの部屋」には少年の姿をした番人がおり、魂たちの思いを聞き、生の道へ戻るのか死の道へ進むのかを導いていく……というストーリーだ。
オムニバス形式のため1話ごとにサクサクと読める本作だが、心にズシッとくる重たいエピソードもあるため、『なかよし』読者の年齢層から言えばホラーテイストの内容に恐怖を感じた人も少なくないだろう。
そんな筆者も『闇は集う』が大好きだった読者の一人である。怖いもの見たさで本作を読み、不思議な世界観に引き込まれた。
松本さんの持ち味でもある美しいイラストで恐怖系や感動系の物語が紡がれる本作は、現在までに8巻のコミックスが刊行されているが、最終巻となる9巻は未刊のままになっている。
そのため、別冊付録になっていた『闇は集う 夜に消える翼』が最終巻とされているのだが、現在ではなかなか手に入らないため、今も電子書籍化を望む声は多い。残念ながら筆者も最終巻を読めていないのだが、機会があればぜひ読んでみたいものだ。
■女子の憧れだった!『美少女戦士セーラームーン』
武内直子さんの『美少女戦士セーラームーン』も、1994年に連載されていた作品だ。
アニメ化、実写化などさまざまなメディアミックスもされ、時代を超えてもなお誰もが知る名作である。“戦う女の子”を描いた先駆者のような作品といっても過言ではないだろう。
本作は、少しおドジな主人公・月野うさぎを筆頭に、個性あふれる女の子たちが「セーラー戦士」に変身して悪と戦う物語だ。戦士たちが着こなすおしゃれなコスチュームはもちろん、恋や友情と、女の子の憧れが詰まっていた。
可愛く勇敢なセーラー戦士に憧れて、決めポーズや必殺技を繰り出したりと、“ごっこ遊び”に夢中になった思い出がある人も多いだろう。
少女漫画史に残るレジェンド作品もまた、「なかよし黄金期」を盛り立てた作品だったと知り、あらためて驚いてしまった次第だ。
■30年の時を経て人気再燃!『怪盗セイント・テール』
1994年10月号から連載が開始された『怪盗セイント・テール』は、立川恵さんの代表作だ。
1995年にアニメ化も果たした本作は、マジシャンを父に持つ主人公・羽丘芽美が怪盗に扮し、犯罪者たちから盗品を盗み返す“正義のヒーロー”として活躍する物語だ。
一見、普通の女子中学生である芽美が、マジックの技と生まれ持った身体能力を駆使して怪盗セイント・テールとして活躍する姿は、読者を夢中にさせた。そして、同級生で刑事の息子でもある飛鳥大貴との恋愛模様からも目が離せなかった。
連載開始から30年以上経つ本作だが、近年『怪盗セイント・テール』のグッズが新たに販売されている。当時を懐かしむ大人女子たちに刺さる可愛いグッズの数々。マジックをモチーフにしたデザインのものもあり、ファンにはたまらないラインナップが揃っていた。
『魔法使いサリー』にはじまる女の子を夢中にさせてきた“魔法少女もの”の歴史だが、『怪盗セイント・テール』も、これに刻まれる人気作品であると言えるだろう。