梶裕貴、若手時代に2人の先輩声優にかけられた言葉「確実に勇気をもらいましたし、とても励みになりました」の画像
梶裕貴 ©朗読劇「君の膵臓をたべたい」2025製作委員会

 2015年に発表され、そのショッキングで謎めいたタイトルと切ないストーリーで注目を集めた、住野よるさんのベストセラー小説『君の膵臓をたべたい』(双葉社)。2022年12月に上演された朗読劇『君の膵臓をたべたい』が、多くの熱望の声によって、2025年4月5日・6日に朗読劇として上演されます。

 主人公の「僕」を演じるのは2024年に声優20周年を迎え、めざましい活躍を続ける声優の梶裕貴さん(岡本信彦さんとのWキャスト)。年下の人と仕事をすることも増えてきた梶さんが後輩たちに伝えたいこと、梶さん自身が若手の頃に救われた一言とは?

――声優さんはどちらかというと「裏方」のお仕事のようなところもありますが、今回の朗読劇のように、表に出る機会が増えていることをご自身ではどのようにとらえていますか。

梶裕貴(以下、梶) 今では最先端技術を用いた公演も増えてはきましたが、それでも朗読劇は、どちらかといえばアナログなコンテンツ。僕は、声優の表現における根源のように感じています。声優という文化自体、映像や舞台役者さんが、あえて「声」で演じるというところから生まれている文化だと思うので、むしろ舞台で表現することに関しては違和感がないと思っています。

 その仕事の幅が広くなっている声優という職業。どんな仕事においてもそうですが、「この職業の人はこれしかやっちゃダメ」なんてことは決してないと思うんです。なので、「声優」という枠にとらわれず、やりたい人が、やれるだけの熱意と実力を持って、お客様にお見せできるエンターテインメントとして成立させていけるのであれば、僕はどんどん挑戦されていったらいいのかなと考えていますね。

――これまでを振り返って、「この人のこの言葉に救われた」というエピソードはありますか?

 これまでもいろいろなところでお話していることですが、新人の頃、バイト三昧な下積み生活から抜け出せなくて不安に思っていた時に、先輩声優の森久保祥太郎さんや櫻井孝宏さんに「お前は大丈夫だから」と言葉をかけていただいたことがあって。

 きっと、お二人の中では何らかの理由や根拠があって声をかけてくださったはずですが、たとえ漠然とだったとしても「大丈夫」と言ってもらえたその言葉には、すごく大きな力があったように思います。言霊、というんでしょうか。確実に勇気をもらいましたし、とても励みになりました。

――ご自身のXでも「おはようございます! 月曜日!新しい一週間のはじまり! 深呼吸してスタートしましょう! 大丈夫 いってらっしゃい!いってきます!」(2025年2月17日投稿より)と、「大丈夫」という一言が添えられていた日もありました。

 僕が「大丈夫」と言ったところで何ができるわけではないとは思いながらも、「毎日の投稿に励まされます」といったお言葉もいただくので、僕自身が健康で「毎日頑張っていますよ」という姿をお見せしつつ、どこかで「もう限界だ」と思っている人の救いになればと思い、日々書いています。

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