虎杖×小沢、乙骨×リカちゃん…「想像がふくらむ!」『呪術廻戦』に描かれた数少ない恋愛エピソードの画像
アニメ『呪術廻戦』「死滅回游」スーパーティザービジュアル ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

 芥見下々氏の『呪術廻戦』といえば、主人公・虎杖悠仁らをはじめとする呪術師が、呪霊や敵対する呪詛師らを相手に呪術戦を繰り広げるダークファンタジーだ。それに伴う人間関係の描写などはあるものの、恋愛関連のエピソードは極めて少なかった。

 しかし、だからこそ、ところどころで描かれるキャラ同士の恋愛話が印象的だった読者も少なくないだろう。単行本最終巻の30巻にも、関連したエピローグが加えられている。

 今回は、『呪術廻戦』で描かれた数少ない恋愛エピソードについて、単行本最終巻エピローグの内容も交えつつ振り返ってみよう。

 

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます

■同級生同士の「虎杖×小沢」…最終的に両想い!?

 交際こそしていないものの、関係性が示唆されてきた虎杖と小沢優子の2人。2人は中学時代の同級生であり、小沢は虎杖にその頃から好意を寄せていたという。

 当時の小沢はぽっちゃり体型であったために同級生男子からは敬遠されていた。そんなある日、教室で虎杖を含めた男子生徒らが好きな女子の話をしており、その中で「強いて言えば」と迫られた虎杖が小沢の名前を挙げたのだ。

 理由は、字の書き方などを含めて色々綺麗だからというもの。外見ではなく所作=中身を見て判断できる虎杖に惚れたわけである。

 やがて、中学時代から一変してすらりとした体型になった小沢は、今の自分ならもしかしたら想いが叶うかもという期待を胸に、釘崎野薔薇らを通じて虎杖と会うことに。ふたりを実際に引き合わせてようやく、あまりの変わりように気づかない可能性に思い至った釘崎だったが、虎杖の第一声は、「小沢じゃん」だった。

 見た目が変わっても一目で自分だと見抜いてもらえた小沢は歓喜するかと思いきや、その表情は複雑そうだった。なぜなら自分を見た目で判断していた他人のように、小沢もまた「外見を変えればチャンスがあるかも」と同じ尺度を持っていたと気づいたからだ。

 結局想いを打ち明けず釘崎と連絡先を交換して別れたが、その後発生した渋谷事変にも巻き込まれず生存。単行本最終巻のエピローグにて、仙台に帰郷していた虎杖と2度目の再会を果たし、降り出した雪の話をし始める。

 中学時代も雪が好きだという話をしていた2人だが、現在の小沢も雪が好きだと打ち明け、積もった雪が眩しいのが「大好きな人に似てるから」と独白。最終的にまた告白には至らなかったらしい小沢だが、中学時代のやりとりを覚えていた虎杖なら脈あり、両想いなのでは? と推測する読者が多数生まれる幕引きとなった。

■純愛カップルといえば「乙骨×リカちゃん」!

 『呪術廻戦』における「カップル」の筆頭ともいえる乙骨憂太とリカちゃんの2人。厳密にいえば「里香ちゃん」が正当な相手になるだろうか。

 前日譚にあたる『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』にて、主人公・乙骨が幼い頃仲良くしていたのが祈本里香。幼いながらも、里香のほうから母親の形見である結婚指輪を乙骨に渡し、「大人になったら結婚する」という可愛らしい婚約をしていた。

 しかしその約束もむなしく、乙骨の目の前で交通事故に遭い頭部がつぶれるという衝撃的な死を迎えた里香。それ以来、結婚を約束した乙骨に取り憑き「特級過呪怨霊・祈本里香」となり、彼を傷つけるものに容赦なく襲い掛かる怪物と化した。

 彼女に“呪いの女王”としての素質を見出した最悪の呪詛師・夏油傑は、彼女を狙って呪術高専東京校を襲撃。一騎打ちになるものの、乙骨は里香に“すべてを捧げる”ことで最大限の力を発揮し、夏油を打ち破った。

 その後、里香が乙骨に呪いをかけていたのではなく、乙骨が里香に呪いをかけていたと判明。乙骨から解呪したことで里香は無事に成仏を果たすも、渋谷事変後には呪霊状態に酷似した「リカちゃん」なる存在が登場する。

 里香は成仏する前に「外付けの術式」と膨大な呪力を残しており、本人とは異なる存在ではあるものの遺志を継ぎ、最終決戦まで乙骨をサポートし続けたのだ。

 乙骨のその後は、「エピローグ パンダ」にて間接的に描かれている。乙骨は五条亡き後、遠い親戚であったためか五条家当主代理を務めており、孫息子と孫娘が登場していた。

 そのうち孫娘の方には、里香の形見であった指輪らしきものがチェーンを通して首に掛けられている。天国の里香はどんな形であれ乙骨の子孫を見守ってくれているのだろうか。

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