
1966年放送の『ウルトラQ』から始まった「昭和ウルトラマン」シリーズは、迫力あふれる怪獣とのバトルだけでなく、ドラマパートも丁寧に描かれている。
『ウルトラマン』で科学特捜隊のムラマツキャップ役を演じた小林昭二さん、『ウルトラマンタロウ』にてZATの隊長・朝日奈勇太郎役を演じた名古屋章さん、副隊長・荒垣修平役だった東野孝彦さん(のちの東野英心さん)など、地球を守る防衛チームの重要なポジションに名だたる俳優が配され、物語に重みを与えていた。
また『帰ってきたウルトラマン』では主人公の郷秀樹を実の兄のように支える坂田健役を、岸田森さんが担当。レギュラー陣の豪華さも注目ポイントだった。
さらに1話だけのゲスト出演の俳優も、実はかなり豪華だったのをご存じだろうか。今回はそんな「昭和ウルトラマン」シリーズのゲスト俳優陣を振り返っていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■数回にわたってゲスト出演した孤高の怪優・天本英世さん
まず紹介するのはインテリジェンスあふれる役柄や、『仮面ライダー』の死神博士をはじめとした強烈な悪役の演技で知られる天本英世さんだ。
天本さんは『ウルトラQ』第28話「あけてくれ!」や、『帰ってきたウルトラマン』第23話「暗黒怪獣 星を吐け!」の回にゲスト出演。中でも印象深いのは『ウルトラマンレオ』第24話「美しいおとめ座の少女」のドドル博士役だろう。
このエピソードでは、おとめ座にある母星でロボットの反乱が起きたため、サーリン星人のドドル博士と孫のカロリンが地球へ逃げてくる。しかし、ロボット警備隊が地球にやってきて2人の引き渡しを要求。主人公の「おおとりゲン(ウルトラマンレオ)」がふたりをかばおうとしたため、ロボット怪獣ガメロットと戦うことになる。ドドル博士と、実はアンドロイドだったカロリンの心の交流が印象に残るエピソードだ。
■ベテラン俳優の平泉成さんは2作品にて好青年役を好演!
時代劇や刑事ドラマをはじめとしたテレビドラマだけでなく、映画やナレーションでも活躍している大ベテランの平泉成さんも「昭和ウルトラマン」シリーズに何度かゲスト出演している名優のひとりだ。
平泉さんは『ウルトラマンタロウ』第36話「ひきょうもの! 花嫁は泣いた」の回にて、マンションを建設する作業員・岩坪として登場。夜になると、弟とともに石焼き芋を売ってマンションの購入資金を貯めていた陽子の婚約者が岩坪である。
しかし、岩坪はねこ舌星人のグロストに洗脳されてしまい、それまでの優しい好青年から態度が急変。グロストに翻弄される岩坪役を好演している。
また平泉さんは『ウルトラマンレオ』の第46話「恐怖の円盤生物シリーズ! 戦うレオ兄弟! 円盤生物の最後!」では、トラック運転手の矢野口純平として登場。弟の純次を大切にしている、実直ではつらつとした青年を演じている。
純平と純次の兄弟は、円盤生物ハングラーに襲われたことを周囲の人々に信じてもらえず、孤立していく展開だった。このエピソードには、ウルトラマンレオの弟である「アストラ」も登場し、兄弟愛を描いた物語になっているのが特徴。ちなみに平泉さんは、これらのエピソードでは、かつての芸名である「平泉征」の名でクレジットされている。
■「最強の一般人」を熱演した大和田獏さん
『ウルトラマンタロウ』の第29話「ベムスター復活! タロウ絶体絶命!」、第30話「逆襲! 怪獣軍団」の2話にわたり、塾講師の海野八郎役を演じたのは俳優の大和田獏さんだ。
地球に現れた改造ベムスターを相手に生身の体で挑み、怪獣の口にダイナマイトを放り込んだり、ナイフで目をつぶしたりと、ZATの隊員も顔負けの超人ぶりを見せつけた。
かつて『帰ってきたウルトラマン』でウルトラマンジャックを破り、本作でもタロウを一度は倒している強敵ベムスターとの戦いに、普通の人間ながら貢献。塾の子どもたちと約束した「怪獣をやっつける」という言葉を有言実行してみせた海野役を熱演した大和田獏さんの勇姿が忘れられない。