■最期のその瞬間まで戦い抜いた若き少年兵……『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』三日月・オーガス

 今もなお新たなシリーズが展開され続けている、国民的人気ロボットアニメ『機動戦士ガンダム』。シリーズのなかでも主人公の悲劇的な最期が描かれたのが、2015年より放送された『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』だ。

 本作では戦場で生きる少年兵たちの群像劇が描かれているのだが、そんな少年兵の一人として活躍するのが、主人公の三日月・オーガスである。

 少年兵のリーダー格、オルガ・イツカが立ち上げた「鉄華団」の一員として、三日月はガンダム・バルバトスに搭乗し数々の激戦を切り抜けていく。

 はじめこそ輝かしい活躍を見せていた鉄華団だが、物語が進むにつれ大人たちや組織の思惑に翻弄されていくことに。挙句、彼らは“賊軍”として指名手配され、武力組織・ギャラルホルンから命を狙われることとなってしまうのだ。

 鉄華団の基地にギャラルホルンが攻め込んでくるなか、三日月は数名とその場に残り、団員たちが逃げるまでの囮を買って出た。そして、機体が損傷し肉体が血にまみれながらも、群がる敵を薙ぎ倒し続けていく。

 まさに悪魔のような奮闘を見せつけた三日月だったが、ギャラルホルンの猛攻を前にはなすすべがなく、ついにはガンダム・バルバトスのコックピットに座ったまま、静かに力尽きてしまう。

 志半ばで散っていった鉄華団の面々もさることながら、最後まで自分たちの居場所を守るため脅威に立ち向かい続けた三日月の散りざまは、まさに壮絶のひと言に尽きる。

 戦争や政治に生き方を翻弄され、それでも命尽きるまで必死に道を切り開こうとした彼の生きざまに、胸を打たれた視聴者は多いだろう。

 

 物語を通し活躍してきた主人公たちの死。事故で、病で、戦いで……主人公が死亡する理由もアニメによってさまざまだが、最後に待ち構えていたそのシーンに愕然とした視聴者は多かっただろう。 

 衝撃を受けることはもちろん、それぞれの死がもたらした物語の結末についても考えさせられてしまう。

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