
アニメ作品におけるキャラクターの死は、視聴者に大きな影響を与えるものだ。ときには物語の主役として活躍していたキャラが死亡してしまい、作品のファンを愕然とさせてしまうこともある。
その死は物語の終盤で描かれることも多く、予想だにしない結末はより一層強くファンの心を揺さぶる。古き名作から現代作品にいたるまで、さまざまな形で描かれたアニメの「主人公たちの死」を見ていこう。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます
■魔法少女に訪れたまさかの悲劇…『魔法のプリンセス ミンキーモモ』ミンキーモモ
現代に至るまで「魔法少女」を題材とした作品は多いが、あまりにも衝撃的な展開で視聴者を唖然とさせたのが、1982年より放送された『魔法のプリンセス ミンキーモモ』である。
夢の国からやってきた王女・ミンキーモモが、人々に夢と希望を取り戻すため魔法の力で活躍していく王道的な本作。コミカルなタッチでありながら一方で重いテーマ性を秘めたストーリーが展開されるなど、これまでの魔法少女ものとは一線を画す作品であった。
なかでも、視聴者が予想だにしないまさかの展開が飛び出したのが、ストーリー終盤の第46話「夢のフェナリナーサ」だろう。
魔法のペンダントが壊れてしまったことでモモは魔法の力を失い、普通の少女として生活を送りはじめる。そんななか、公園の噴水で休んでいたモモ。野球少年たちが飛ばしてしまったボールを拾うため、道路へと駆け出してしまう。
ボールを拾い上げたのも束の間、突如そこに猛スピードで運転するトラックが現れ、唖然と立ち尽くすモモ目掛けて突っ込んでしまうのだ。
モモを轢いたトラックはそのまま横転し、積み荷であった大量のおもちゃがばらまかれる。救急車のサイレンが鳴り響くなか、転がり落ちたおもちゃが次々に映し出される物悲しい演出でシーンは幕を閉じてしまう。
魔法少女が力を失う展開もどこか絶望的だったが、まさかその直後に彼女が交通事故にあい、帰らぬ人となるなんて、当時の視聴者は予想だにしていなかったのではないだろうか。
実はこの後、モモが夢の国の住人ではなく人間として生まれ変わる……という展開が待ってはいるのだが、怒涛の勢いで繰り広げられる悲劇的な描写の数々に心を痛めたファンも少なくはないだろう。
■伝説の剣客を蝕む不治の病…『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』緋村剣心
1994年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された、和月伸宏氏の『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』。本作は明治時代初期の日本を舞台とした剣劇バトル漫画で、アニメや実写映画などさまざまなメディア展開を続ける大人気作品である。
その主人公である流浪人・緋村剣心の意外なその後が描かれたのが、OVA『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-星霜編』でのこと。本作では原作で剣心が辿ってきた激闘の歴史を振り返りながらも、OVAでしか語られないオリジナルストーリーが展開されている。
原作のラストからさらなる月日が過ぎ、剣心は海を渡った先の大陸にて新たな旅を続けようとしていた。しかし、彼は道中で重い病に感染してしまい、心身ともに疲弊していくことに。
剣客としての力を失うのみならず、記憶も曖昧になり、歩くことすら困難な状況に陥ってしまう剣心。仲間たちの力を借りなんとか帰国した彼は妻・薫と再会するのだが、病魔は着実に彼の肉体を蝕んでいた。
病気を治癒させる方法も見つからず、剣心の肉体はついに限界を迎えてしまう。そして妻である薫の手のなかで、穏やかに眠りにつくのであった。
これまで最強無敵の活躍を遂げていた剣心が弱っていく姿はただただ痛々しく、OVA自体が原作のようなギャグテイストも薄いことから、初めて見たファンにとっては実に衝撃的な展開に思えただろう。
あくまでOVAならではの“If展開”なのだが、一人の剣客が辿り着いた旅路の末に、ただただ胸を締め付けられてしまう。