■戦いの疲れを癒す7000mの遊覧飛行「タコバルーン」

 空島においてゴッド・エネルたちとの激闘を終えた麦わらの一味は、名残惜しさをにじませながら青海への帰路につく。

 上空7000mの白海にある“雲の果て(クラウド・エンド)”という門をくぐったルフィたちは、長い“雲の川(ミルキーロード)”の坂道を下り、青海に辿り着くと思っていた。……が、そこに坂道はなく、待っていたのはゴーイングメリー号ごとの青海へのダイブだった。

 上空からの突如の落下に、眼球が飛び出すほどに驚愕するメリー号を含む全員。だがその直後、コニスが笛を鳴らすと雲のなかから空島名物・タコバルーンが飛び出し、メリー号ごとがっしりと掴んでふわふわと気球のようにゆっくりと下降。無事に青海まで送り届けてくれるのだ。

 コニスたち空島の住人に見殺しにされるわけないのだが、タコバルーンは間違いなくルフィたちの生命の危機を救った動物である。

 ちなみに、タコバルーンに対していち早く臨戦態勢をとったゾロがそのまま切ってしまっていたら……。落下という抗いようのない危機によって一味崩壊の可能性もあったという、恐ろしいシーンでもあるのだ。

■海底の悪魔による強烈な右ストレート「クラーケン」

 麦わらの一味の離散から2年。各々が過酷な修行を終え、一味は再びシャボンディ諸島に集結。海底10000mにある魚人島を目指すこととなる。

 シャボンでコーティングされたサニー号にて、より深層へ向かうための巨大な滝の如き海流・下降流に差し掛かった一味は、そこで海底の悪魔・クラーケンに遭遇するのである。

 巨大なクラーケンを撃退するため、ルフィ、ゾロ、サンジはシャボンを潜水服のようにまとって船外へ飛び出し、それぞれ殴る・蹴る・斬るなどして、300mの巨体を圧倒。しかし戦闘の直後、クラーケンを含む全員が“下降流”に飲み込まれ、船外にいた3人は一時行方不明となってしまうのだ。

 サニー号に残った麦わらの一味が闇に包まれた深海で3人を探していると、一味の前にバンダー・デッケンのフライングダッチマン号と、180mの巨体を持つ船員の大入道・ワダツミが出現する。宝を目的としたデッケンの命令で、サニー号にその巨大な拳を振り上げるワダツミ。

 絶体絶命となった次の瞬間、ここで割って入ったのがクラーケンだった。軟体生物とは思えないほど強烈な右ストレートを繰り出し、ワダツミの顎を的確に打ち抜くのである。

 8本の腕でドカドカと殴り続けるクラーケンだったが「おい!! もういいぞ!! やめろ!!!」と無事に帰還したルフィに制止されてようやく拳をおろし、「よくやった」と褒められると「にへっ」と笑顔を返すのであった。

 幼少期とこの2年間の修行中も、ルフィは動物たちと心を通わせながら鍛錬を積んできた。クラーケンすら味方につけるルフィの異常な求心力がなければ、麦わらの一味の2年間の修行は、まさに水泡に帰していたかもしれない。

 

 今回紹介したのはごく一部で、ほかにもクンフージュゴン、ゾウ、ジンベエザメなど、麦わらの一味は幾度となく動物たちに窮地を救われてきた。

 『ONE PIECE』でどのキャラクターが好きかというのはファンの間でも定番の話題だが、次は好きな動物キャラ縛りで議論を交わしてみるのも、また新鮮で面白いかもしれない。

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