■少しずつ侵食されていく架空の現代社会『MOTHER2 ギーグの逆襲』
1994年に任天堂より発売された、スーパーファミコン用ソフト『MOTHER2 ギーグの逆襲』。現代をモチーフにした町の姿や温かみのあるキャラクターデザイン、王道の熱さとどこか仄暗い影が入り乱れたストーリーなど、唯一無二の世界観が魅力の名作RPGだ。
そんな本作も実は「199X年」が舞台となっていることをご存じだろうか。緑豊かな町・オネットで暮らしていた主人公・ネスだったが、「199X年」に裏山に飛来した隕石がきっかけで人類の運命をかけた壮大な冒険へと旅立つこととなる。
作中では現代風の都市が登場するのだが、いずれも我々が暮らす世界のものをモチーフとしたものばかり。道中では我々にもなじみ深い道具や乗り物が多数登場するため、リアルな没入感に浸ることができる。
また、現代的な世界観ゆえか、現実世界にある洋楽やクラシックをモチーフにした耳に残るBGMも秀逸で、いずれも使用される土地や場面の雰囲気に見事にマッチしている。
作中、各地を冒険していくなか、ネスたちは世界が少しずつ外からやってきたなにかに侵食され、壊されつつある事実を知ることとなる。
地球を襲うなにかと、それに立ち向かう少年たちの壮大な戦いが描かれた、激動の「199X年」。我々の住む世界観に近いからこそ「199X年」にこんなことが起こったら……と、思わず考えてしまったプレイヤーも少なくないのではないだろうか。
多くのゲーム作品に登場する「199X年」だが、ときには世界崩壊のターニングポイントになったり、現代そっくりの冒険の舞台になっていたりと、扱いは実にさまざまだ。だが、その多くは「199X年」に起こったある出来事が、物語が大きく動き出すきっかけとなっている。
現実世界の1990年代がそうであったように、ゲームのなかでも「199X年」は激動の時代となっていたようだ。