
1990年代といえば、経済や災害、国際問題などさまざまな出来事が立て続けに巻き起こる激動の時代だった。特に「ノストラダムスの大予言」のブームもあって、「1999年」は“世紀末”というイメージでとらえられる年ともなった。
そんな影響を受けてか、ゲーム界においても「199X年」が重要な意味合いを持つ作品が数多く登場している。
しかし、当然ながら作品ごとにその細かな設定は異なっており、展開されるストーリーも千差万別だった。レトロゲームでの「199X年」は、はたしてどのようなキーポイントとなっていたのか……かつての名作たちを比較してみよう。
■文明崩壊の引き金となった忌まわしき最終戦争の年…『デジタル・デビル物語 女神転生II』
ナムコ(ナムコット)より発売されたファミコン『女神転生』シリーズは、「悪魔」と呼ばれる異形の存在に触れた人々が彼らと戦い、ときには共存することで荒廃した世界を生き抜いていくRPG作品だ。
なかでも「199X年」に起こった出来事をきっかけに物語が動き始めるのが、1990年に発売された『デジタル・デビル物語 女神転生II』である。今年で35周年を迎える本作では、前作同様、多種多様な悪魔たちが登場し物語を盛り上げる。
登場する悪魔の数や会話のパターンの増加、マルチエンディングシステムの採用など、前作から着実な進化を遂げた本作において、その時代設定が明らかとなるのがまさにゲーム開始直後。
なんとゲームが始まるや否や、大都市めがけてミサイルが打ち込まれ、「199X年」に人類の歴史が終焉を迎えてしまうのである。
キノコ雲とともに崩壊していく世界がなんとも衝撃的なのだが、実際に物語が動き出すのはそこからさらに数十年後……2036年の東京にて、主人公は人と悪魔が入り乱れる混沌とした戦いに巻き込まれていくこととなる。
のちに『真・女神転生』(アトラス)としてシリーズ化され、さまざまな理由で荒廃した世界を練り歩くこととなったが、『女神転生II』では、まさかの「199X年」に巻き起こった最終戦争の火種が世界崩壊のきっかけとなったというわけだ。
開始直後から瞬く間に繰り広げられたそのショッキングな展開に度肝を抜かれ、惹きつけられたプレイヤーは多いだろう。
■練りこまれた設定の壮大さに驚愕?『クォース』
ファミコン発売当初、1990年代はまだ見ぬ未知の時代であった。そのため「199X年」にとんでもない出来事が発生し物語が動き出す……という舞台設定のゲームも少なくなかった。
その一つが、1989年に登場したアーケードゲーム『クォース』(コナミ)だ。画面上部から落下してくるブロックに自機の弾を打ち込み、ブロックの形を四角形にすることで消去していく、シューティングとパズルゲームを融合した独特のジャンルの作品である。
1990年にファミコンに移植された本作においても、思いがけないキーポイントとして「199X年」が扱われている。
この戦いのすべてのきっかけとなるのが、「199X年」に宇宙空間で発生した重力崩壊と、それに伴い起こる大爆発であった。これにより発生したブロック「クォース」は周囲のあらゆる物質を飲み込みながら、地球へと迫ってきていたのである。
実は、ゲーム内でプレイヤーが操作する自機こそ、地球に襲い掛かってくるクォースへの対抗手段であった。プレイヤーは次々に飛来するブロックを破壊し、地球の崩壊を防ぐという重大な使命を課せられていたのである。
「199X年」をきっかけに発生した宇宙災害のスケールもさることながら、パズルゲームとは思えない重厚なストーリー、壮大な舞台設定にも驚かされる一作だ。