■ファミコン時代にまさかのAI搭載!?『ファジカルファイター』

 飛び交う弾幕を回避し、迫りくる敵を撃破していくシューティングゲーム。ファミコン時代にも数々の名作シューティングゲームが登場しているが、なかにはあまりにも時代を先取りしすぎた、とんでもない機能をウリとした作品も存在している。

 その作品こそ、1991年にシグマ商事から発売された『ファジカルファイター』だ。

 自機を操作し、敵を撃破していくゲーム性は一般的な横スクロールシューティングなのだが、途中に立ち寄る城や街で買い物ができたりと、どこかRPG的な要素も盛り込まれた作品となっている。

 しかし、本作の最大の特徴は、「ファジィ論理」と呼ばれる概念を取り入れることで、自機がある程度自動で行動するよう、特殊なプログラムが施されている点だろう。

 現代で言う「AI」にも活用される理論で、なんと本作の自機は自動的に回避をおこなったり、敵に向かっていく機能を搭載しているのである。

 ファミコン時代にAIを活用しようとしたなかなかの意欲作なのだが、やはりまだまだ機能自体の完成度は低く、あえて敵に突っ込んで自滅……といったこともしばしばあった。一応、本作の目玉機能ではあるのだが、これによって難易度が上がってしまったりと、なんとも惜しい出来となってしまっている。

 ちなみに、この機能はON・OFFを切り替えることができるため、一般的な横スクロールシューティングとして、自らの実力で挑戦することも可能だ。

 シューティングとRPGの融合だけでも実に独特なのだが、自機が自立して行動するという時代を先取りしすぎた発想を盛り込んだ、渾身の意欲作といえるだろう。

 

 各社がさまざまな名作を生み出していたファミコン全盛期だが、今回紹介したタイトルのように、ときにはプレイヤーの意表を突くとんでもないジャンルの作品が登場しており、その意外な内容には驚愕してしまう。

 超能力育成、箱庭観察、自立行動する自機……など、どれも最先端すぎる発想のものばかりで、当時のプレイヤーは困惑してしまったかもしれない。

 だが一方で、意表を突いたジャンルは唯一無二の個性となり、今もなおファミコンマニアの間で語り継がれ続けているのも事実である。

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