「斬新なのはわかるけど…」チビッコが困惑!ファミコン「時代を先取りしすぎた」迷作たち  『マインドシーカー』に『アップルタウン物語』も…の画像
ファミコンソフト『マインドシーカー』(ナムコット) (C)MASUAKI KIYOTA (C)1989 NAMCO LTD. ALL RIGHTS RESERVED.(写真/ふたまん+編集部)

 1983年に任天堂より家庭用ゲーム機『ファミリーコンピュータ(ファミコン)』が登場したことを皮切りに、数々の名作ファミコンソフトが各社から発売され、一大ムーブメントを巻き起こした。

 多種多様なジャンルの作品が世に送り出されるなか、ときにはほかの作品とは一味も二味も違う、思いがけないテイストの作品が登場し、プレイヤーの度肝を抜いてしまったことも……。

 時代を先取りしすぎてしまった、インパクト大なファミコンソフトたちについて見ていこう。

■超能力育成のため己の運を乗り越えろ!『マインドシーカー』

 ファミコンが空前のゲームブームを引き起こす一足先の1970年代、海外の超能力者、ユリ・ゲラーの登場によって、社会には空前のオカルトブームが巻き起こっていた。

 念動力で触れずに物体を動かしたり、未来に起こる出来事を予知したりと、さまざまな形で披露される超能力に人々は夢中になっていったのだが、このオカルトブームを受けて作成されたのが、1989年にナムコット(現:バンダイナムコエンターテインメント)より発売された『マインドシーカー』である。

 内容はなんとプレイヤーの内に眠る超能力を目覚めさせるため、養成プログラムを体験していくというもの。ジャンルとしては、場面ごとに超能力の訓練をしながらストーリーを進めていくアドベンチャーゲームとなっている。

 プレイヤーは念力、予知、透視の各能力を鍛え上げるため、それぞれのトレーニングをおこなっていくのだが、その内容はまさに奇抜……。

 念を押しながらボタンを押し、画面のランプを点灯させる。5つのランプから点灯するものを当てる。伏せたカードの絵柄を当てる……などなど、超能力の強化に適したトレーニング内容というより、実際はランダムで選ばれた答えをプレイヤーが選択できるかどうかが試されている。

 要は、ほとんどが「運」によって左右されるということだ。序盤から終盤まで、己の直感を信じて答えを選び取っていくほかないのである。

 こういった仕様のため、ノーミスでエンディングまでたどり着けるのは、それこそ天文学的な確率だった。己の強運で正解を引き当てるのか、はたまた真の超能力に目覚めるのか……当時のオカルトブームならではの怪作といえるかもしれない。

■緩やかに流れる時間を存分に堪能できる箱庭ゲー『アップルタウン物語』

 自分だけの限られた空間をゲームを通じて作り上げて眺める……いわゆる「箱庭ゲー」と呼ばれるジャンルは今もなお根強い人気を誇り、さまざまな世界観の作品が生み出され続けている。

 しかし、実はファミコン時代にもすでにこの「箱庭ゲー」は登場していたことを、ご存じだろうか。

 1987年にDOG(スクウェア 現:スクウェア・エニックス)より発売されたディスクシステム用ソフト『アップルタウン物語』こそ、当時としては珍しい箱庭観察を題材とした一作だ。

 この作品ではタイトルにもなっている「アップルタウン」に暮らす一人の少女に焦点を当て、プレイヤーは彼女が家のなかでどのような生活をしているかを見守っていく。

 基本的には3階建ての家で暮らす少女を観察するのだが、プレイヤーはいくつかの選択肢によってアクションを起こし、彼女の生活に変化をもたらしていく。

 だが、なんとこのゲーム、少女の生活を観察することが目的であるため、明確なストーリーやエンディングが存在するわけではない。

 なかなか思い切った緩さで構成された作品なのだが、一方で実は隠しコマンドが多かったり、少女がプレーするファミコンから制作会社に関連する作品の音楽が流れたりと、思わぬところで芸の細かさが光っていた。

 少女が自由気ままに織りなす緩やかな日常に、心を癒されてみるのも一興かもしれない。

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