ガンダム作品屈指の壮絶な運命…宇宙世紀に翻弄された哀しき強化人間「マリーダ・クルス」の生涯の画像
「機動戦士ガンダムUC Blu-ray BOX Complete Edition」(バンダイナムコフィルムワークス) (C)創通・サンライズ

 現在大ヒット中の映画『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』。そのテレビシリーズの放送日が4月8日であると発表された。そして公開されている公式のプロモーション映像に「シャア・アズナブル」の姿があったことから、初代『機動戦士ガンダム』の舞台である「宇宙世紀」の世界観があらためて注目を集めている。

 宇宙に進出した人類と、地球に残った人類の争いが描かれる宇宙世紀シリーズ。「ニュータイプ」と呼ばれる超常的な能力を開花させた人々が戦いのカギを握るが、そんなニュータイプ能力を強制的に引き出した「強化人間」という存在も、物語の重要なキーパーソンとして描かれており、その多くが悲哀に満ちた内容になっている。

 特に『機動戦士ガンダムUC』に登場する強化人間、「マリーダ・クルス」という女性の生き様は、あまりにも過酷なものとして描かれた。

※本記事は作品の核心部分の内容を含みます。

■人々の道具として生きた日々

 マリーダはネオ・ジオン軍の残党である「袖付き」のガランシェール隊に所属する強化人間で、モビルスーツ(MS)の「クシャトリヤ」のパイロットとして登場する。

 航宙貨物船ガランシェールの船長であるスベロア・ジンネマンのことを「マスター」と呼び、寡黙に淡々と任務に向き合うマリーダ。その正体は、アニメ『機動戦士ガンダムZZ』に登場した少女「エルピー・プル」の12番目のクローンであり、かつては「プルトゥエルブ」のコードネームで呼ばれていた、第一次ネオ・ジオン戦争を生き抜いたパイロットなのである。

 かつてのマスターであり、ネオ・ジオンの内乱を引き起こしたグレミー・トトが率いる量産型キュベレイの部隊に所属していたマリーダは、『ZZ』の最終話でキャラ・スーンが駆るMSのゲーマルクと激闘を繰り広げる。

 戦いのなかでグレミーが死に、同じクローンである姉妹たちの機体が次々と撃墜されるのを見て逃亡。地球へと降り立った。そして、その地球では悪質な人身売買業者によって娼館に売り飛ばされるという、あまりにも過酷な運命が待っていた。

 やがて、ジオン残党としても活動を続けていたジンネマンによって保護されると、地球連邦軍が行った大量虐殺によって失った彼の娘「マリィ」の名前を継ぐように、「マリーダ」の名前を与えられた。

 その後は養父であり、新たなマスターとなったジンネマンに忠実に従い、『UC』における「ラプラス事変」へとその身を投じていくことになる。

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