■ひとりで使うポップがすごすぎた? 連携技として登場しがちな「メドローア」

 『ダイの大冒険』には多くのオリジナル必殺技があるが、そのなかでも人気が高いのが大魔道師・ポップの最大呪文「メドローア」だ。

 本家『ドラクエ』にもある「メラ」と「ヒャド」を合成して極大消滅呪文とするセンスの良さや、決まれば敵を必ず消滅させられる破壊力に当時の子どもたちは夢中になり、単行本25巻で発表された必殺技人気投票では堂々の1位を獲得した。

 それだけ人気の「メドローア」は、もちろんゲームに逆輸入されている。ナンバリング作品では『ドラクエ11』で初めて実装され、のちに『ドラクエ10』でもアップデートで追加された。

 面白いのが『ドラクエ11』において「メドローア」が2人で使う連携技になっている点だ。具体的には主人公の「メラゾーマ」と仲間のベロニカの「マヒャド」を合体させた連携技になっている。

 本作において主人公は伝説の勇者の生まれ変わりであり、ベロニカも優秀な魔法使いだ。その2人が協力しないと使いこなせない必殺技として、「メドローア」は扱われていた。

 単体で「メドローア」が使える作品でもずば抜けた威力を誇っていたり、膨大なMPを消耗したりと、ほかの必殺技や呪文と一線を画す描写が見受けられる。

 こうしてみると「メドローア」をひとりで自由自在に使いこなしていたポップのすごさをあらためて実感してしまう。最終決戦で「やっぱ天才…だったりしてね おれ…!!」と自画自賛していたが、本当にその通りだ。

 

 1989年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が始まった『ダイの大冒険』は、約30年前に完結した漫画だ。そのなかで活躍した必殺技が時を経てゲームで復活し、漫画を読んだことがない人も使えるというのは、とてもロマンのある話だ。

 あの剣技や呪文を使いたい、あるいはユーザーに使ってほしい、と願った人が多くなければ、決して実現しなかったのではないだろうか。

 「ギガブレイク」や「メドローア」が本家『ドラクエ』に逆輸入されてきた歴史は、『ダイの大冒険』の偉大さの証明といえるだろう。

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